掻取(読み)かいどり

精選版 日本国語大辞典 「掻取」の意味・読み・例文・類語

かい‐どり【掻取】

〘名〙
着物の褄(つま)(すそ)をからげて、裾が地に引かないように引き上げること。また、その姿。
※御湯殿上日記‐文明一八年(1486)八月七日「御かいとりにてきちゃう所へ御まいり」
② (①のようにして着用するところから) 打掛小袖(うちかけこそで)のこと。近世慣例としては武家方で打掛(うちかけ)と称したのに対して、公家方でもっぱらいったもの。
※随筆・のをだ巻(1802)「正月元日は小家といへども妻子共にかいどりして召仕ふ女子も相応の衣類を著替」

かい‐ど・る【掻取】

〘他ラ四〙 (「かいとる」とも。「かい」は接頭語)
① 衣服の裾や褄などをつまみ上げたり、まくり上げたりする。
※十訓抄(1252)七「此男の㒵をみれば、脇かひとりていきまへひざまづきたり」
② 要点を取り出す。他を略して必要なものを示す。かいつまむ。
※禅鳳雑談(1513頃)「かやうにひっつめて、かい取ていい候事、いまだきかぬ事にて候」
③ 勢いよく取る。
※人情本・花筐(1841)四「水掉(みさを)を掻把(カイト)って、立ちあがるを暫時(しばし)と止め」

かき‐と・る【掻取】

〘他ラ五(四)〙
① 手などで物をおしのける。〔文明本節用集(室町中)〕
② ひっかくようにして取る。こそぎ落とす。
※草根集(1473頃)一一「よそにして落葉かきとる里の子も時雨に頼む常磐木の陰」

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デジタル大辞泉 「掻取」の意味・読み・例文・類語

かい‐どり【×掻取】

着物の裾が地に引かないように、つまや裾を引き上げること。
1のようにして着用するところから》打掛小袖うちかけこそで。近世の慣例として、武家の婦人用を打掛、公家の婦人用を掻取という。

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百科事典マイペディア 「掻取」の意味・わかりやすい解説

掻取【かいどり】

打掛(うちかけ)

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