掲・挑(読み)かかげる

精選版 日本国語大辞典 「掲・挑」の意味・読み・例文・類語

かか・げる【掲・挑】

〘他ガ下一〙 かか・ぐ 〘他ガ下二〙 (「かきあげる(掻上)」の変化した語)
くしなどで上の方にすきあげる。
万葉(8C後)七・一二三三「少女らが織る機の上を真櫛もち掻上(かかげ)たく島波の間ゆ見ゆ」
② 簾(すだれ)や衣の裾、幕などをまくりあげる。上へ巻きあげる。
書紀(720)景行四〇年一〇月(北野本訓)「裳(も)を褰(カカケ)、浪を披(かうぶり)(みづから)王船(みふね)を扶(たす)けて岸に着けまつる」
徒然草(1331頃)一七五「烏帽子ゆがみ、紐はづし、脛(はぎ)たかくかかげて」
灯火を掻き立てて明るくする。油皿の中の灯心を高くする。
※枕(10C終)一四五「燈台に火をともしていとあかうかかげて」
源氏(1001‐14頃)総角「皆寄り臥して、仏の御ともし火もかかぐる人もなし」
④ 物を手などで高く持ち上げる。また、人目につくような高い場所に置く。月などが空にあることにもいう。
千載(1187)雑中・一〇八四「おもひやれとよにあまれる燈火のかかげかねたるこころぼそさを〈大江匡範〉」
⑤ (②を比喩的に用いて) 靄(もや)や迷いなどを幕のように前をさえぎるものに見立て、それをもちあげる、はらいのける。
秘蔵宝鑰(830頃)中「且挙一二、褰子之迷
⑥ (④を比喩的に用いて) 人目につくようにする。広く人に知られるようにする。
平家(13C前)二「三百余歳の法燈を挑る人もなく」
文書印刷物などに載せて示す。ことばに表わして示す。
小学読本(1884)〈若林虎三郎〉三「読本第一第二掲ぐる所のものを」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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