探題(和歌用語)(読み)たんだい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「探題(和歌用語)」の意味・わかりやすい解説

探題(和歌用語)
たんだい

和歌用語。歌会で、あらかじめ短冊などに記されたいくつかの題を、各自が抽選するようにしてとり、与えられた題によって詠作すること。詩会や句会でも行われた。詩作探韻などの影響によるものといわれ、平安中期ごろよりみられるが、鎌倉時代に至って盛んに行われ、「続歌(つぎうた)」とよばれる大部な形式のものも催されるようになった。『後撰(ごせん)集』雑四の「左大臣の家にてこれかれ題を探(さぐ)りて歌詠みけるに、露といふ文字を得侍(はべ)りて」、『源順(みなもとのしたごう)集』の「正月雨降る日、東宮に候(さぶら)ひて、雨の心の歌を奉るとて、文字一つを探りて、な文字賜はれり」などが早い例。

[小町谷照彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例