掛切(読み)かかりっきり

精選版 日本国語大辞典 「掛切」の意味・読み・例文・類語

かかりっ‐きり【掛切】

〘名〙 (「かかりきり(掛切)」の変化した語)
① ある一つ物事だけに関係、または従事していること。
婦系図(1907)〈泉鏡花〉後「貴下にかかりっ切(キリ)で構ひつけないし、留守にばっかりしたもんだから」
② もっぱらその人にだけ世話になっていること。
※爺(1903)〈島崎藤村〉「お島は叔父の家に掛りっきりといふのぢゃなくて」

かかり‐きり【掛切】

太政官(1915)〈上司小剣〉二「穫(と)れた米を足舂きにするのには、母屋(おもや)の方で下男一人、かかり切りにするほどであった」

かかり‐き・る【掛切】

〘自ラ五(四)〙 もっぱら、ある一つの物事だけに関係、従事する。ある事柄全力を注ぐ。
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉九「予全く吾身を委(ゆだね)てこれに従事(〈注〉カカリキル)せりといひしとぞ」

かけ‐ぎれ【掛切】

〘名〙 日本髪で、髷(まげ)に掛ける飾りの布きれ。手絡(てがら)。まげかけ。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「現金掛直なしの日除を洩れる友禅メリンスの掛切も」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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