据物・居物(読み)すえもの

精選版 日本国語大辞典 「据物・居物」の意味・読み・例文・類語

すえ‐もの すゑ‥【据物・居物】

〘名〙
① すえておくもの。飾っておく物。置物
※宇津保(970‐999頃)あて宮「すへものは政所より〈略〉櫃十、ほをの木に黒柿の脚つけたる中取十にすゑ」
罪人死体などを土壇(どだん)にすえること。また、土壇にすえた死体。刀剣試斬(ためしぎ)りに用いた。
※甲陽軍鑑(17C初)品四〇下「ためし物を、よくきる人にて、しかも上手なれば、既にすへものを切て」
③ きまった宿で、ひそかに淫売をする私娼
※浮世草子・好色一代女(1686)六「すへものは、其内へ、客を取込」
④ かこい者。めかけ。
※浮世草子・傾城仕送大臣(1703)六「かり初のなじみによりて居者(スヱモノ)にせられ」
歌舞伎で、看板または芝居番付の中に狂言の内容を示す美文調の語(かたり)を記す例があったが、その語の文の前後、または中央に、「栄曾我後日狂言」などと、太い文字で書き下したもの。
※賀久屋寿々免(1845)二「すへもの、左右に書事有」
⑥ (据えて置く物の意から) 生人形などの類。興行師などのいう語。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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