(読み)もじる

精選版 日本国語大辞典 「捩」の意味・読み・例文・類語

もじ・る もぢる【捩】

[1] 〘他ラ五(四)〙
① ねじる。よじる。ひねる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)九「鑓のしほ首引掴、もぢって払ば身を背け」
② ことばを他の語の音や口調に似せていう。また、著名な詩文歌謡などの調子文句をまねて他にいい換える。
※黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉二「洒落本を種にして、阿波鳴戸をもぢった滑稽をやったりした」
③ 食うまたは飲む意の、人形浄瑠璃社会の語。
※浄瑠璃・和田合戦女舞鶴(1736)二「『此あたりに、よい酒屋はござらぬか』『ヒヤこりゃあり様はもぢりかけるのか』」
[2] 〘自ラ下二〙 ⇒もじれる(捩)

よじ・れる よぢれる【捩】

〘自ラ下一〙 よぢ・る 〘自ラ下二〙
① ひねったように曲がる。ねじれる。よれる。
和英語林集成初版)(1867)「オビ ガ yojireteiru(ヨジレテイル)
気持などがねじ曲がる。ふてくされる。また、すねる。
評判記・吉原すずめ(1667)下「こと更、床のうちよしれて見せ、心もちもたれたるよし」

すじ・る すぢる【捩】

[1] 〘他ラ四〙 からだをまげくねらせる。もじる。
徒然草(1331頃)一七五「黒くきたなき身を肩抜ぎて、目もあてられずすぢりたるを」
[2] 〘自ラ四〙 ねじれて斜めになる。まがる。まがりくねる。〔名語記(1275)〕
※俳諧・江戸新八百韻(1756)「斯こそと世を藤房の身の納め〈存義〉 はるかにすぢる秣野の道〈亀成〉」

よじ・る よぢる【捩】

[1] 〘他ラ五(四)〙 ひねるようにして曲げる。ねじる。ねじ曲げる。ひねる。
※和英語林集成(初版)(1867)「ナワ ヲ yojiru(ヨジル)
[2] 〘自ラ下二〙 ⇒よじれる(捩)

もじ・く もぢく【捩】

[1] 〘他カ五(四)〙 ねじる。よじる。また、果物や葉などをよじりながら取る。
※両足院本山谷抄(1500頃)一四「春のこさきの茶をもぢきて煎して」
[2] 〘自カ下二〙 ⇒もじける(捩)

よじ‐く・る よぢ‥【捩】

[1] 〘他ラ四〙 ひねり回す。ねじ曲げる。ねじくる。よじる。
雑兵物語(1683頃)下「あんのごとく河中でよぢくりめぐるとおもったれば」
[2] 〘自ラ下二〙 ⇒よじくれる(捩)

よじ‐く・れる よぢ‥【捩】

〘自ラ下一〙 よじく・る 〘自ラ下二〙 ねじりまがる。くねり曲がる。ねじれる。また、素直でなくなる。ひねくれる。
※洒落本・船頭部屋(19C初)七軒堀親里の套「革羽織の紐を見るやうに、よぢくれた挨拶をしなさらずと」

よじれ よぢれ【捩】

〘名〙 (動詞「よじれる(捩)」の連用形名詞化) よじれること。また、よじれたところ。
赤西蠣太(1917)〈志賀直哉〉「自分で腹を切って、安甲に手伝はせ、腸のよぢれを直して了ったと云ふのだ」

よじら・す よぢらす【捩】

〘他サ四〙 よじるようにする。ひねるようにする。
※歌謡・松の落葉(1710)四・菅笠踊「東からくる花嫁うれし、おれが目当の菅笠うれし、〈略〉お伴にとっつくだて助が〈略〉腰をよぢらす紅葉笠」

もじ・れる もぢれる【捩】

〘自ラ下一〙 もぢ・る 〘自ラ下二〙 よじれる。ねじれる。ひねれる。
※玉塵抄(1563)五〇「髪の青い毛がもぢれまるがってくうだやうなを螺と云ぞ」

もじ・ける もぢける【捩】

〘自カ下一〙 もぢ・く 〘自カ下二〙 よじれて取れる。または、抜ける。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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