捍撥画(読み)かんばちが

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「捍撥画」の意味・わかりやすい解説

捍撥画
かんばちが

琵琶阮咸 (げんかん) など東洋古代の弦楽器捍撥,すなわち撥の当る面を保護するために張られた皮に描かれた絵。捍撥の部分には美しい細密画を描く習慣があり後世まで続いた。代表的な遺品として正倉院の琵琶4面と阮咸2面の捍撥画があり,皮の上を顔料で下塗りして彩画し,さらに全体に油を塗って表面を保護している。なかでも『騎象奏楽図』 (琵琶) はとりわけ精巧で,中国,唐代のすぐれた山水,人物表現を伝えるのに対し,『狩猟宴楽図』 (琵琶) ,『樹下囲碁図』 (阮咸) などは,古様な表現技法のうえに新様を取入れた日本の作品とみられる。ともに8世紀絵画様式の展開を示す貴重な資料。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android