持ち家制度(読み)もちいえせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「持ち家制度」の意味・わかりやすい解説

持ち家制度
もちいえせいど

企業が従業員の財産形成の一環として住宅取得を奨励・援助するために、住宅積立預金と住宅資金融資を中心に、積立額に応じて融資を行う制度。企業の住宅施策は、この制度と社宅・寮の設置に大別できる。さらに、住宅相談、住宅ローン利子補給、住宅手当、転勤時の社宅としての借り上げなど、付随的施策もある。公共住宅の貧困さのもとで、福利厚生の一環として高度成長期のころから重視されるようになり、勤労者財産形成貯蓄による資金積立て、財形貯蓄契約金融機関からの財形見合い住宅提携ローンなど勤労者財産形成促進制度を活用して、企業は持ち家制度を積極的に展開してきた。近年の福利厚生の「合理化」、とくに社宅・寮など重厚長大型福利厚生のスクラップ化を意図するカフェテリア・プラン(従業員の自由選択にまかせる福利厚生制度)導入で企業の住宅施策としての比重が高まる一方雇用の流動化が進むなど持ち家制度を取り巻く環境は激変している。

浪江 巖・伊藤健市]

『労務研究所編・刊『財形貯蓄と持ち家制度』(1977)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「持ち家制度」の意味・わかりやすい解説

持ち家制度
もちいえせいど

企業の行なう福利厚生活動の一つで,従業員が自己の住宅を所有できるように援助する制度。建築・購入資金の融資,社宅の払い下げ,住宅金融支援機構(→住宅金融公庫)融資の保証などがある。1971年に制定された勤労者財産形成促進法(→勤労者財産形成促進制度)は,預貯金の税法上の優遇や,財形貯蓄を行なっている勤労者に対する勤労者退職金共済機構を通じての住宅資金の融資制度など,国の施策としても勤労者の自家取得を助成することを目指している。

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