(読み)ハイ

デジタル大辞泉 「拝」の意味・読み・例文・類語

はい【拝〔拜〕】[漢字項目]

[音]ハイ(漢) [訓]おがむ
学習漢字]6年
頭を下げて礼をする。「拝礼跪拝きはい参拝巡拝朝拝答拝伏拝奉拝遥拝ようはい礼拝らいはい・れいはい
貴人に会う。「拝謁拝顔
あがめる。ありがたがる。「拝外崇拝
お上からいただく。ありがたく受ける。「拝官拝命拝領
自分の行為に冠して相手に敬意を示す語。「拝賀拝啓拝見拝借拝呈拝読拝復

はい【拝】

頭を垂れて敬礼すること。おがむこと。
「古風に低く―をして」〈二葉亭訳・片恋
手紙で、署名の下に書いて相手への敬意を表す語。「鈴木一郎
拝舞はいぶ」の略。
「其の後上達部かんだちめの―あり」〈増鏡・草枕〉
[類語]御許侍史机下台下足下座右硯北膝下玉案下御前

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「拝」の意味・読み・例文・類語

おが・む をがむ【拝】

〘他マ五(四)〙
① 貴人の前で身を折り曲げて礼をする。拝礼する。
※書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「大臣〈略〉、軍門(みかど)に進(まうすす)むで、跪拝(ヲガミ)て曰さく」
② 手を合わせて神仏などに祈る。合掌する。礼拝する。
※土左(935頃)承平五年二月一一日「ひとにとへば『八幡宮(やはたのみや)』といふ。これを聞きて喜びて、人々をかみたてまつる」
③ (「ミサをおがむ」の形で) ミサの儀式を行なうの意か。
ロザリオの経(一六二二年版)(1622)一二「コノ ヨツノ ヲン イワイビノ ツグ ヒ クミノ タメ ヲコナワルル トムライノ ゴ missa ヲ vogami(ヲガミ)
④ 「見る」の謙譲語。身分の上の人にお目にかかる。拝見する。拝顔する。
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)上「ははうへおかむとおもふてに、身つから一めおかまいよ」
⑤ 一心に願う。懇願する。嘆願する。特に、遊里では「おがんます」「おがみんす」「おがみいす」などの形で、どうぞお願いします、よしてくださいなどの意を表わす。
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「笑ひがほ見せて下んせ、おがんます」
背広などの上着の前が左右重なり合いすぎる。

はい‐・する【拝】

[1] 〘他サ変〙 はい・す 〘他サ変〙
① 頭を垂れて、敬礼する。おがむ。
令義解(718)儀制「凡元日不親王以下
② 官を授ける。任官させる。めす。
※続日本紀‐延暦七年(788)一二月庚辰「夫択日拝将。良由綸言
③ つつしんで見る。拝見する。
※大観本謡曲・鶴亀(1544頃)「一同に拝するその音は、天に響きて夥し」
朝廷などからの官職任命をうやうやしく受ける。ありがたく受け取る。拝受する。
※本朝文粋(1060頃)六・申従三位状〈菅原文時〉「是則以公卿者依員数而難拝、階級者為定数上レ昇也」
[2] 〘自サ変〙 はい・す 〘自サ変〙 拝舞する。
蜻蛉(974頃)下「大夫さうぞかせて、いだしたつ。おりはしりて、やがてはいするをみれば」

はい【拝】

〘名〙
① おがむこと。頭を下げて敬礼すること。
平家(13C前)三「主上夜ごとに清涼殿石灰壇にて、伊勢大神宮をぞ御拝ありける」
人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)三「貴賤を選まず拝(ハイ)を許す」 〔礼記‐曲礼上〕
② 「はいぶ(拝舞)」の略。
源氏(1001‐14頃)宿木「下りて答のはい、し給ふ御有様ども」
③ 手紙などで、自分の名の下に付けて、相手に敬意を表わす語。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「差出名は唯苗名(めうじ)文で━小野拝」

おがみ をがみ【拝】

〘名〙 (動詞「おがむ(拝)」の連用形の名詞化)
① おがむこと。礼拝。
※古今著聞集(1254)一六「三千三百三十三度のおかみせよ」
② 法会に食事を出すこと。とき。かたぞなえ。
※書紀(720)敏達一三年是歳(前田本訓)「三の尼を屈請(いま)せ、大会の設斎(ヲガミ)す」
③ (合掌した手に形が似ているところから) 破風板(はふいた)が左右から合う所。〔日本建築辞彙(1906)〕

おろが・む をろがむ【拝】

〘他マ四〙 (「おがむ(拝)」の古形) おがむ。礼拝する。
※書紀(720)推古二〇年正月・歌謡「畏(かしこ)みて仕へ奉(まつ)らむ烏呂餓瀰(オロガミ)て仕へ奉らむ」

はい‐・す【拝】

[1] 〘自他サ変〙 ⇒はいする(拝)
[2] 〘他サ五(四)〙 (サ変動詞から転じたもの) =はいする(拝)

おれが・む をれがむ【拝】

〘他マ四〙 =おがむ(拝)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【叩頭】より

…中国古来の拝礼の一つ。〈叩頭〉は後漢のころから,古く《周礼(しゆらい)》に挙げられた〈九拝〉の一つ〈頓首〉と同義通用するようになったという。…

※「拝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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