デジタル大辞泉
「拝」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おが・む をがむ【拝】
〘他マ五(四)〙
① 貴人の前で身を折り曲げて礼をする。拝礼する。
※書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「大臣〈略〉、軍門(みかど)に進(まうすす)むで、跪拝(ヲガミ)て曰さく」
② 手を合わせて
神仏などに祈る。合掌する。
礼拝する。
※土左(935頃)承平五年二月一一日「ひとにとへば『
八幡宮(やはたのみや)』といふ。これを聞きて喜びて、人々をかみたてまつる」
③ (「
ミサをおがむ」の形で) ミサの儀式を行なうの意か。
※
ロザリオの経(一六二二年版)(1622)一二「コノ ヨツノ ヲン イワイビノ ツグ ヒ クミノ
タメ ヲコナワルル トムライノ ゴ missa ヲ vogami
(ヲガミ)」
④ 「見る」の
謙譲語。身分の上の人にお目にかかる。拝見する。拝顔する。
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)上「ははうへおかむとおもふてに、身つから一めおかまいよ」
⑤ 一心に願う。懇願する。嘆願する。特に、遊里では「おがんます」「おがみんす」「おがみいす」などの形で、どうぞお願いします、よしてくださいなどの意を表わす。
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「笑ひがほ見せて下んせ、おがんます」
はい‐・する【拝】
[1] 〘他サ変〙 はい・す 〘他サ変〙
① 頭を垂れて、敬礼する。おがむ。
※
令義解(718)
儀制「凡元日不
レ得
レ拝
二親王以下
一」
② 官を授ける。任官させる。めす。
※続日本紀‐延暦七年(788)一二月庚辰「夫択レ日拝レ将。良由二綸言一」
③ つつしんで見る。拝見する。
※大観本謡曲・
鶴亀(1544頃)「
一同に拝するその音は、天に響きて夥し」
④
朝廷などからの
官職の
任命をうやうやしく受ける。ありがたく受け取る。拝受する。
※本朝文粋(1060頃)六・申従三位状〈菅原文時〉「是則以下公卿者依レ有二員数一而難レ拝、階級者為レ無二定数一可上レ易レ昇也」
[2] 〘自サ変〙 はい・す 〘自サ変〙
拝舞する。
※
蜻蛉(974頃)下「大夫さうぞかせて、いだしたつ。おりはしりて、やがてはいするをみれば」
はい【拝】
〘名〙
① おがむこと。頭を下げて敬礼すること。
※
人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)三「
貴賤を選まず拝
(ハイ)を許す」 〔
礼記‐曲礼上〕
※
源氏(1001‐14頃)
宿木「下りて答のはい、し給ふ御有様ども」
③ 手紙などで、自分の名の下に付けて、相手に敬意を表わす語。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「差出名は唯苗名(めうじ)文で━小野拝」
おがみ をがみ【拝】
〘名〙 (動詞「おがむ(拝)」の連用形の名詞化)
① おがむこと。礼拝。
※古今著聞集(1254)一六「三千三百三十三度のおかみせよ」
② 法会に食事を出すこと。とき。かたぞなえ。
※書紀(720)敏達一三年是歳(前田本訓)「三の尼を屈請(いま)せ、大会の設斎(ヲガミ)す」
③ (合掌した手に形が似ているところから) 破風板(はふいた)が左右から合う所。〔日本建築辞彙(1906)〕
おろが・む をろがむ【拝】
〘他マ四〙 (「おがむ(拝)」の古形) おがむ。礼拝する。
※書紀(720)推古二〇年正月・歌謡「畏(かしこ)みて仕へ奉(まつ)らむ烏呂餓瀰(オロガミ)て仕へ奉らむ」
はい‐・す【拝】
[2] 〘他サ五(四)〙 (サ変動詞から転じたもの) =
はいする(拝)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の拝の言及
【叩頭】より
…中国古来の拝礼の一つ。〈叩頭〉は後漢のころから,古く《周礼(しゆらい)》に挙げられた〈九拝〉の一つ〈頓首〉と同義通用するようになったという。…
※「拝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」