日本大百科全書(ニッポニカ) 「拉致被害者支援法」の意味・わかりやすい解説
拉致被害者支援法
らちひがいしゃしえんほう
北朝鮮による日本人拉致被害者とその家族を支援するための法律。与野党の合意に基づき、議員立法で国会に提出され、2002年(平成14)12月に成立、2003年1月1日から施行された。正しくは「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」。平成14年法律第143号。支援法は、日本人拉致事件を「北朝鮮当局による未曽有(みぞう)の国家的犯罪行為」と明記したうえで、国や地方自治体の責務として、被害者と配偶者らの安否確認、帰国のための最大限の努力、被害者と配偶者などへの支援などを定めている。具体的な支援として、帰国した被害者が一定の所得を得られるようになるまで「拉致被害者等給付金」(2人世帯で月額24万円、単身で同17万円)を支給する。被害者の生活相談や公営住宅への優先入居や雇用の確保、教育の斡旋(あっせん)のほか、拉致期間の未払い分の国民年金の保険料を国が全額負担する特例措置を盛り込んでいる。なお、「拉致被害者等給付金」の支給期間は2010年の改正により最長5年から10年に延長された。
[水野雅之]
『蓮池透著『奪還 引き裂かれた二十四年』(2003・新潮社)』▽『北朝鮮による拉致被害者家族連絡会著『家族』(2003・光文社)』