精選版 日本国語大辞典 「押川春浪」の意味・読み・例文・類語
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大衆児童文学の作家。キリスト教界の元老、押川方義(まさよし)の長男として、明治9年3月21日、愛媛県松山に生まれる。本名は方存(まさあり)。春浪の雅号は、師とした巌谷小波(いわやさざなみ)より与えられた春波の一字を変えたもの。少年時代から父に反発して学校の転退校を繰り返し、東京専門学校(早稲田(わせだ)大学の前身)在学中の1900年(明治33)に書いたSF(空想科学小説)的な冒険小説『海底軍艦』で青少年層の人気を得、たちまち流行作家となったが、大正3年11月16日、38歳で病没した。処女作から『武侠(ぶきょう)の日本』(1902)、『新造軍艦』(1904)、『新日本島』(1905)などと続く六部作のほか、数多くの作品がある。自身が「武侠小説」とよんだ春浪の小説は、侵略的なナショナリズムとSF的な趣向とを特徴としており、その後の大衆児童文学に大きな影響を及ぼした。
[上笙一郎]
『『日本児童文学大系3 押川春浪集』(1978・ほるぷ出版)』▽『『近代文学研究叢書15 押川春浪』(1960・昭和女子大学)』
明治時代の冒険小説作家。本名方存。キリスト教界の名士方義の長男として松山に生まれた。父の布教のため,新潟,仙台など各地を転々とした後,東京専門学校(現,早大)法科を卒業。在学中に著し,巌谷小波の紹介で刊行した《海底軍艦》により多くの少年読者を熱狂させた。その後,博文館の《少年世界》《中学世界》にSF的な冒険小説を続々と発表,日露戦争へと突入する情況を背景に,ナショナリスティックな夢をうたいあげた。博文館に入社後,《日露戦争写真画報》《冒険世界》の編集に従事。退社後,1912年《武俠世界》を創刊,〈武俠小説〉に彼自身のロマンを追い求めたが,若くして病没。《春浪快著集》全4巻に代表作を収録。
執筆者:山田 有策
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(佐伯順子)
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…押川春浪の代表的冒険小説のシリーズ。全六部作で《海底軍艦》(1900),《武俠の日本》(1902),《新造軍艦》《武俠艦隊》(ともに1904),《新日本島》(1906),《東洋武俠団》(1907)よりなる。…
※「押川春浪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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