抗核抗体(読み)こうかくこうたい

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「抗核抗体」の解説

抗核抗体

基準値

陰性(-)

全身性エリテマトーデス(SLE)の診断に有効

 自己抗体のうち、自分の細胞核を攻撃する抗体が抗核抗体で、これは膠原病こうげんびょうのひとつ全身性エリテマトーデスSLE)で血液中に出現します。

 全身性エリテマトーデスで最も高頻度に出現しますが、このほかにも同じ膠原病関節リウマチや強皮症、シェーグレン症候群、あるいは自己免疫機構が関与している慢性甲状腺炎慢性肝炎などでも陽性になります。

 抗核抗体は、健康な人でも陽性になることがあります。この場合、女性のほうが陽性率は高頻度です。

 抗核抗体の一種に、「その他の自己抗体」で述べる抗DNA抗体などがあります。これらも、膠原病を疑うときに測定します。

膠原病で症状が落ち着いていれば1~3カ月に1回の検査

 原因不明の発熱発疹関節痛筋肉痛、疲労感や脱力感などが長引くときは、膠原病の存在が疑われます。

 抗核抗体が陽性で、膠原病などの原因となる病気が明らかな場合は、症状が安定していれば1~3カ月に1回の検査を、症状の活動期や強力な治療を行っている場合には、2週間~1カ月に1回の検査を行っていきます。

 抗核抗体が陽性の場合は全身性エリテマトーデスをまず想定しますが、ほかの検査所見も考慮して、全身性エリテマトーデス以外でも陽性になることを患者に説明し、生活指導を行います。

 なお、蛍光抗体法での染色パターンより抗核抗体の種類を推測することが可能です。

疑われるおもな病気などは

◆陽性→膠原病:全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、混合性結合組織病

    その他:慢性甲状腺炎、慢性肝炎など

医師が使う一般用語
アナ」=antinuclear antibody(抗核抗体)の略ANAから

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

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