抗原虫剤(読み)コウゲンチュウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「抗原虫剤」の解説

抗原虫剤

製品名
《アトバコン・プログアニル塩酸塩配合剤》
マラロン(グラクソ・スミスクライン)
マラロン小児用(グラクソ・スミスクライン)
《アルテメテル・ルメファントリン配合剤》
リアメット(ノバルティスファーマ)
《チニダゾール製剤》
チニダゾール(富士製薬工業)
《パロモマイシン硫酸塩製剤》
アメパロモ(ファイザー
《プリマキンリン酸塩製剤》
プリマキン(サノフィ)
《メトロニダゾール製剤》
フラジール(塩野義製薬
《メフロキン塩酸塩製剤》
メファキン(久光製薬

 原虫の感染によっておこる病気原虫症)の治療に使用される薬です。


 メフロキン塩酸塩製剤は、マラリア原虫に効果があり、マラリアの予防にも用いられます。ただし、使用は成人に限られます。アトバコン・プログアニル塩酸塩配合剤アルテメチル・ルメファントリン配合剤は、マラリアの治療に用いられます。プリマキンリン酸塩製剤は、三日熱・卵形マラリアの治療に用いられます。


 チニダゾール製剤は、トリコモナス腟炎ちつえんなどのトリコモナス症の治療に使われます。


 メトロニダゾール製剤は、アメーバ赤痢の治療、トリコモナス腟炎の治療、ランブル鞭毛虫症の治療に用いられる抗原虫剤ですが、嫌気性菌感染症や感染性腸炎、細菌性腟炎、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃ガンに対する胃内視鏡治療後のヘリコバクター・ピロリ除菌の補助にも用います。


 パロモマイシン硫酸塩製剤は、腸管アメーバ症の治療に使われます。


①過敏症状(内服剤では発疹ほっしんなど、腟錠では、かゆみ、発赤などのアレルギー症状)が現れることがあります。メトロニダゾール製剤では、神経障害(手足のしびれ)、急性膵炎、出血性大腸炎、無菌性髄膜炎、中毒性表皮壊死えし融解症、皮膚粘膜眼症候群、肝機能障害がおこることがあります。メフロキン塩酸塩製剤では、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症、けいれん錯乱幻覚、呼吸困難、脳症、循環不全などがおこることがあります。アトバコン・プログアニル塩酸塩配合剤では、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑こうはん、重い肝障害、肝炎胆汁うっ滞、アナフィラキシー、汎血球減少症、無顆粒球症、白血球減少がおこることがあります。プリマキンリン酸塩製剤では、溶血性貧血など血液障害、アルテメテル・ルメファントリン配合剤では、QT延長、アナフィラキシーがおこることがあります。このような症状が現れたら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②薬によっては、舌苔ぜったい(舌の表面が苔状こけじょうのもので覆われる)、食欲不振、吐き気下痢腹痛、のどの渇き、頭痛、めまい、ねむけ、倦怠感けんたいかんなどの症状が現れます。


 このような症状がおこったら、医師に相談してください。


③白血球減少などの血液障害がおこることがあります。薬の効果と副作用出現の有無をチェックするために、医師から検査を指示されたときは必ず受けてください。


①内服剤と腟錠とがあります。内服剤を服用して効果が不十分なときはいったん休薬し、再度服用するなどの方法をとることがあります。1日の使用回数と使用時間・1回の使用量については医師の指示を守り、かってに中止したり増量・減量しないでください。


 また、内服剤を服用するときは、十分な水(コップ1杯以上の水)で飲んでください。


問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの有無、現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 とくに、過去に抗原虫剤を使用して過敏症状をおこしたことがある人、血液障害(フラジールでは、特発性血小板減少性紫斑病の人は除きます)、脳・脊髄せきずいの病気などがある人、てんかんや精神疾患の既往がある人、重い腎障害のある人、心臓や肝臓に病気がある人、コケイン症候群(光線過敏症、発達の遅れなど)、妊婦または現在妊娠している可能性のある人は、使用できない場合があります。あらかじめ医師に報告してください。


③アルコール飲料をとると、腹痛、嘔吐おうと、顔面紅潮などがおこりやすくなります。抗原虫剤を使用中は、禁酒を守ってください。


④この薬を使用中に、ほかの薬を使う必要が生じたときは、前もって必ず医師・薬剤師に相談してください。


 メフロキン塩酸塩製剤は、キニーネ、キニジン、クロロキン、ハロファントリン(ハロファントリンは国内未承認)を使用中の人には使用できません。


 アルテメテル・ルメファトリン配合剤は、リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、セイヨウオトギリソウを使用中の人には使用できません。


 パロモマイシン硫酸塩製剤は、アミノグリコシド系抗菌剤を使用中の人、バラマイシンで過敏症をおこしたことのある人、イレウスのある人には使用できません。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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