抗ヒスタミン剤(読み)こうヒスタミンざい

精選版 日本国語大辞典 「抗ヒスタミン剤」の意味・読み・例文・類語

こうヒスタミン‐ざい カウヒスタミン‥【抗ヒスタミン剤】

〘名〙 (ヒスタミンはhistamine) 抗原抗体反応によって体内に過剰に生じたヒスタミンと拮抗的に作用して抑制する薬物。ヒスタミンの遊離で起こるアレルギー症状に有効なので、気管支喘息じんま疹感冒乗物酔い防止などに用いられる。抗ヒ剤。

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デジタル大辞泉 「抗ヒスタミン剤」の意味・読み・例文・類語

こうヒスタミン‐ざい〔カウ‐〕【抗ヒスタミン剤】

ヒスタミンの作用を抑制し、あるいはその分解を促す薬。体内にヒスタミンが大量に生じるために起こると考えられる、じんましん鼻炎喘息ぜんそくなどのアレルギー症状の治療に用いられる。抗ヒスタミン薬

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病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「抗ヒスタミン剤」の解説

抗ヒスタミン剤

抗ヒスタミン剤とは


 抗ヒスタミン剤は、アレルギーをおこす原因物質であるヒスタミン、セロトニンアセチルコリンロイコトリエンなどのはたらきを抑える作用(抗アレルギー作用)をもち、アレルギー症状を改善する薬です。


 抗ヒスタミン剤には抗アレルギー作用のほかにも、鎮静・催眠作用、自律神経を安定させる作用、鎮吐作用、局所麻酔作用、筋弛緩作用、抗パーキンソン作用と、数多くの作用があります。これらの作用のどれを強調するかによって、いろいろな薬が開発されています。総合感冒剤に抗ヒスタミン剤が配合されているのは、鎮静・催眠作用を応用したいためなのです。


 抗ヒスタミン剤は薬によって効力適応、効果の発現時間・持続時間に差があり、医師は患者の病気の種類や症状から、その人にもっとも適した薬を選択します。


 抗ヒスタミン剤は一般に吸収がよく、内服してから15~30分で効果が現れ、1時間後で効果はピークになります。効果の持続時間が半日から1日も続く抗ヒスタミン剤も開発されています。


 ただし、抗ヒスタミン剤の中には、長時間(数週間から数か月)使用し続けていると効果が低下するものもあります。しかし使用量を増やすと副作用を招くことにもなるので、注意が必要です。


プロピルアミン系製剤及び類似製剤


フェノチアジン系製剤


ホモクロルシクリジン塩酸塩製剤


クレマスチンフマル酸塩製剤


ジフェンヒドラミン配合剤


シプロヘプタジン塩酸塩水和物製剤

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「抗ヒスタミン剤」の意味・わかりやすい解説

抗ヒスタミン剤
こうヒスタミンざい
antihistamines

アレルギー現象に対抗する薬剤の一つ。アレルゲン (アレルギーを誘発する物質) が体内で反応を起すときに,ヒスタミンが放出されてアレルギー反応を起すと考えられている。 D.ボベ,E.フールノーらが,このヒスタミンの活動を封じればアレルギー反応を抑制できるとの考えで研究を始め (1933) ,B.ハルパンが最初の抗ヒスタミン剤アンテルガン Anterganを製品化した (42) 。以来各種の抗ヒスタミン剤が開発され,理論と臨床上の事実から,風邪,頭痛,乗物酔いなど広い領域に応用されている。

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ダイビング用語集 「抗ヒスタミン剤」の解説

抗ヒスタミン剤

抗生物質の一種で、腔腸類や有毒生物に刺された傷に有効。これの入った軟膏はダイバーのファーストエイドキットの必需品だ。

出典 ダイビング情報ポータルサイト『ダイブネット』ダイビング用語集について 情報

栄養・生化学辞典 「抗ヒスタミン剤」の解説

抗ヒスタミン剤

 →抗ヒスタミン薬

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世界大百科事典(旧版)内の抗ヒスタミン剤の言及

【風邪薬】より

…症状の多様性に対応して次のような各種の薬物が配合される。
抗ヒスタミン薬
 抗ヒスタミン剤ともいう。各種の炎症やアレルギー性症状が生体内貯蔵部位から遊離されたヒスタミンによって生ずるという考えから,抗ヒスタミン薬を配合する。…

【抗ヒスタミン薬】より

…抗ヒスタミン剤ともいう。生体内アミンの一つであるヒスタミンの作用に拮抗する薬物。…

【蕁麻疹】より

…しかしながら,この方法は,まれに重篤な反応(ショック)をひき起こすことなどにより,現在では再検討されつつある。 病因が不明な蕁麻疹,あるいはなんらかの治療を行っても症状の軽快しないような場合には,対症療法として抗ヒスタミン剤が日常最も多く使用されている。抗ヒスタミン剤は,細胞膜にあるとされるヒスタミンレセプターに競合的に働くため,蕁麻疹の発現をおさえ,かゆみを止める効果がある。…

※「抗ヒスタミン剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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