批林批孔運動(読み)ひりんひこううんどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「批林批孔運動」の意味・わかりやすい解説

批林批孔運動
ひりんひこううんどう

中華人民共和国において文化大革命期の末期に起こった政治・思想キャンペーンで、林彪(りんぴょう)と孔子(こうし)をともに批判する形をとりながら、実際には、当時の毛沢東(もうたくとう)側近「四人組」が周恩来らを政治的に批判しようとした運動であった。「批林批孔」運動は、1973年夏以来、「毛主席が自ら発動し、指導している」との触れ込みで開始され、林彪異変で反逆者となった林彪元副主席と孔子に代表される儒家思想の「反動的・反革命的」性格を批判し、同時に「焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)」を断行した秦(しん)の始皇帝を高く評価しようとした。一時は中国全土に広まり、子供たちまで「批林批孔」を唱えていたが、それは脱文革の「潮流」に対して「反潮流」の立場から抵抗しようとした「四人組」らの一時の怪気炎にしかすぎなかった。

中嶋嶺雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「批林批孔運動」の解説

批林批孔運動
ひりんひこううんどう

文化大革命末期の政治・思想キャンペーン
1973年ごろより林彪と孔子を批判する形をとりながら,四人組が周恩来らの政敵を打倒しようとしたもの。毛沢東の権威によりながら儒学批判にことよせて「反動派」を抑えようとしたが,四人組の逮捕により終息した。

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