精選版 日本国語大辞典 「打寄」の意味・読み・例文・類語
うち‐よ・せる【打寄】
[1] 〘自サ下一〙 うちよ・す 〘自サ下二〙
① 波が岸に寄せる。
② (「うち」は接頭語) 押し寄せる。攻め寄せる。
③ (「うち」は馬をむちで打つ意) 馬に乗って近づく。
※大鏡(12C前)五「入道殿は、御むまをおしかへして、帥殿の御うなじのもとにいとちかううちよせさせ給て」
[2] 〘他サ下一〙 うちよ・す 〘他サ下二〙 (波が物を)岸の方に運ぶ。
うち‐よ・る【打寄】
〘自ラ五(四)〙 (「うち」は接頭語)
① あるもののそばに行く。また、「うち」は「馬をむちでうつ」意で、馬に乗って近づくことをいうかと考えられる場合もある。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「うつほある杉の木のもとにうちよりて、馬よりおりて」
※大鏡(12C前)二「『何事にか』とて、うちより給へるに」
② ある場所に寄り集まる。また、①と同じく、馬に乗って集まることをいうと考えられる場合もある。
※太平記(14C後)三一「谷々に戦ける兵共十方へ落散ける間、一所に打寄る事不レ叶して」
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三「皆打よって詮議いたせば」
③ 途中でちょっと立ち寄る。
※曾我物語(南北朝頃)七「ついでにうちよりて、御目にかかるべし、さいごのいとまをも申さん」
うち‐よせ【打寄】
〘名〙
① 寄り合って話すこと。寄り合い。
うち‐えする【打寄】
枕 (「うちよする」の上代東国方言) 「駿河(するが)」にかかる。
※万葉(8C後)二〇・四三四五「吾妹子(わぎめこ)と二人わが見し宇知江須流(ウチエスル)駿河の嶺(ね)らは恋(くふ)しくめあるか」
うち‐よする【打寄】
枕 波の打ち寄せる駿河国の意で、「駿河」にかかる。うちえする。
※万葉(8C後)三・三一九「なまよみの 甲斐の国 打縁流(うちよすル) 駿河の国と」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報