普及版 字通 「才(漢字)」の読み・字形・画数・意味
才
常用漢字 3画
[字訓] あり・わずか
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
標木として樹(た)てた榜示用の木の形。古い字形では、上部の一の部分が(さい)、すなわち祝詞などを収める器の形にしるされており、神聖の場所であることを表示する。〔説文〕六上に「艸木の初めなり」とし、草木初生の象であるとするが、(てつ)一下(草木初生の象)とは意象の異なる字である。もと神聖の場所を示し、それより存在するもの、また所在・時間を示す字となる。金文に「正に才(在)り」「宗に才(在)り」のようにいう。存在の最も根源的なものであるから、天地人三才、また材質・質料をいう。それで人の材能をも意味する。才は在の初文。在は才に士(鉞(まさかり)の刃部の形、士の身分象徴)を加えてこれを聖化する形で、占有・支配の意をも含むものであろう。才を呪飾として戈に加えた形は(さい)。声の字には神聖のことに関するものが多い。さらにを加えて哉(さい)となり、「哉(はじ)む」とよむ。金文には才を在、を哉の義に用いている。
[訓義]
1. あり。時間的・場所的、また「王に才(あ)り」「上に才り」「乃(なんぢ)の服(職事)に才り」のように身分・職事などにもいう。
2. 先天的にあるもの、はじめから存在する、天地人三才、さい、さえ、人の才能・材質。
3. 才能のはたらき、その力、その人。
4. 哉・載と通じ、はじめ。
5. 財・纔と通じ、わずか。
6. 裁と通じ、はかる。
7. 国語で、ざえ。また、升目、勺の十分の一。歳の略字として用いる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕才 タカフ(ラ)〔字鏡集〕才 ヒサク・タカラ
[部首]
〔説文〕〔玉〕ともに部首とするが、部に属する字がない。在は才の繁文とすべき字で、士はその意符、すなわち会意字である。また存も才と子の会意。才の榜示によって守られるその地の生活者をいう。これらの会意字は、才部に属すべき字である。
[声系]
〔説文〕に才声として材・財・・在など九字を収め、また声の字十字、在声の字一字を収める。才声の字に材質の意をもつものが多く、声の字に、その初制の儀礼に関するものが多い。
[語系]
才・材・財dzは同声。材・財は才より演化した字で、才の声義を承ける。哉tzは西周の金文に「哉()生(さいせいは)」のように用い、「哉(はじ)めて(月の光)を生ず」の意で、第一週の「初吉」に次ぐ第二週をいう。また裁・纔dzもみな同声。みな「わずかに」の義に用いる字である。
[熟語]
才穎▶・才媛▶・才華▶・才格▶・才学▶・才幹▶・才気▶・才器▶・才技▶・才義▶・才業▶・才具▶・才慧▶・才芸▶・才▶・才傑▶・才賢▶・才彦▶・才悟▶・才語▶・才行▶・才高▶・才策▶・才士▶・才子▶・才思▶・才識▶・才質▶・才秀▶・才淑▶・才術▶・才俊▶・才儁▶・才女▶・才将▶・才捷▶・才章▶・才情▶・才色▶・才臣▶・才人▶・才尽▶・才数▶・才性▶・才絶▶・才藻▶・才短▶・才地▶・才智▶・才調▶・才哲▶・才度▶・才童▶・才徳▶・才能▶・才伐▶・才美▶・才筆▶・才品▶・才敏▶・才物▶・才分▶・才弁▶・才望▶・才名▶・才明▶・才茂▶・才雄▶・才▶・才誉▶・才理▶・才略▶・才流▶・才量▶・才力▶・才劣▶・才郎▶
[下接語]
愛才・悪才・異才・偉才・逸才・軼才・英才・叡才・穎才・下才・画才・雅才・才・学才・奸才・官才・幹才・漢才・奇才・鬼才・器才・機才・狂才・群才・芸才・兼才・賢才・口才・宏才・洪才・高才・三才・詩才・儒才・秀才・俊才・儁才・駿才・如才・小才・称才・商才・上才・人才・世才・盛才・絶才・仙才・浅才・薦才・善才・俗才・多才・大才・卓才・達才・短才・中才・通才・程才・適才・天才・奴才・頓才・鈍才・佞才・能才・覇才・非才・才・美才・微才・敏才・不才・負才・文才・弁才・凡才・無才・明才・茂才・雄才・洋才・抑才・吏才・良才・量才・礼才・麗才・斂才・露才・論才
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報