手縄(読み)てなわ

精選版 日本国語大辞典 「手縄」の意味・読み・例文・類語

て‐なわ ‥なは【手縄】

〘名〙
① 幕の乳(ち)をとおして張り渡す縄。
※武家事記(1673)下「旗に用の器、請筒あり、手縄あり、息杖あり」
捕吏などが人を捕えてしばるのに用いる縄。とりなわ。〔俚言集覧増補)(1899)〕
口取りの者が馬を引く縄。たなわ。
古今著聞集(1254)一〇「馬七八疋に鞍置て、手縄むすびて」
荷車などにつけて、手に持って引く縄。
※説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)一一「おしゃうにんも、くるまのてなはにすがりつき」
⑤ 和船帆装の綱具の一つ。風向きに応じて帆の角度を変えるため、帆桁両端から船体にとる一対の麻縄
※新千載(1356)恋二・一一九三「大舟のまほの手なはの風をいたみ引く方しげき人に恋ひつつ〈藤原為明〉」

た‐なわ ‥なは【手縄】

〘名〙
鵜飼(うかい)が鵜につけて使う縄。
※永承六年禖子内親王歌合(1051頃)「かがり火にたなはの数をくり返しさばきてもなほあかぬ淵かも」
手綱(たづな)とは別に、馬をひく際に用いる縄。さしなわ。
石山本願寺日記‐証如上人日記・天文六年(1537)正月二三日「遠江あかねの綱しりかい十具、同たなわ五筋」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「手縄」の意味・読み・例文・類語

た‐なわ〔‐なは〕【手縄】

鵜匠うしょうが鵜につけて使う縄。
馬を引くためにつける縄。てなわ。→差し縄

て‐なわ〔‐なは〕【手縄】

旗、または幕のに通して張り渡す縄。
口取りが馬をひく縄。
捕吏などが人を捕らえて縛るのに使う縄。

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