精選版 日本国語大辞典 「手引」の意味・読み・例文・類語
て‐びき【手引】
〘名〙 (古くは「てひき」とも)
① 手で引くこと。手で引き出すこと。
※古今(905‐914)恋四・七〇三「夏びきのてびきの糸をくりかへしことしげくともたえむと思ふな〈よみ人しらず〉」
※栄花(1028‐92頃)音楽「御車は中門の外よりてひきにて入らせ給」
② 導くこと。案内。また、それをする人。
※高野山文書‐文永八年(1271)六月一七日・神野猿川真国三ケ庄々官連署起請文「一、強竊二盗并放火事。右、格式之所レ判、罪責頗不レ浅、而云二手引一、云二下手一、無レ離二庄家一、況庄官所従中、粗有二其聞一歟」
※太平記(14C後)九「六千貫埋れたる所を知て候へば、手引申て御辺に所得せさせ奉らん」
④ 船の帆の手縄をひく役。帆をあやつることに関して指揮する役。〔合武三島流舟戦要法(1795)〕
⑤ ある物事を知るための手ほどき。また、そのための書物。
⑥ かかわりあい。てづる。つて。えん。縁故。
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後「今図らずも拙き射芸が手引と為り」
⑦ 「てびきいと(手引糸)」の略。
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