精選版 日本国語大辞典 「所狭」の意味・読み・例文・類語
ところ‐せ・し【所狭】
〘形ク〙 大きかったり、勢いが盛んであったりして、それをとりまく状況が狭く感じられるさまをいう。
※枕(10C終)一〇四「せばき縁に所せきひの御さうぞくの下襲ひきちらされたり」
② あたりが狭く感ずるほど、盛んであるさま、堂々としているさま、はなはだしいさまをいう。
※枕(10C終)九七「さるおほのかなるものは、所せくやあらんと思ひしに」
※徒然草(1331頃)二「所せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ」
③ 事が過大・過重であるため難儀であるさま、困惑するさま、もてあつかいかねるさまをいう。厄介である。
※枕(10C終)一九八「この生絹(すずし)だにいと所せく暑かはしく」
※浜松中納言(11C中)二「この若君は〈略〉あらあらしきをとこの中にあつかひ聞ゆるに、物むつかしうところせき事もなし」
④ 周囲の状況に拘束されて、事が心のままに運ばないさまをいう。気づまりである。窮屈である。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「かかる人さへいできにしかば、いとどところせく」
※狭衣物語(1069‐77頃か)一「かくよろづに所せき身を、いかにも具し給てこそは、いづくへも」
ところせ‐が・る
〘他ラ四〙
ところせ‐げ
〘形動〙
ところせ‐さ
〘名〙
ところ‐せま・い【所狭】
〘形口〙 ところせま・し 〘形ク〙 場所が狭く感じられる。あたりいっぱいに満ちて余地がない。窮屈だ。→ところせし。
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