所為(読み)しょい

精選版 日本国語大辞典 「所為」の意味・読み・例文・類語

しょ‐い ‥ヰ【所為】

〘名〙 (あて字で「所意」とも)
① (なすところの意) しわざ。ふるまい。転じて、ある行為をとらせた理由物事の起こった原因。せい。ゆえ。そい。
今昔(1120頃か)三「俄(にはか)に形を替て光を放つ事、若し此く得たる玉の所為か」 〔易経‐繋辞・上〕
法律で、作為および不作為総称。または行為、特に犯罪行為のこと。

せ‐い ‥ヰ【所為】

〘名〙 (「所為」の字音「しょい」の変化した語か) 上のことばを受けて、形式名詞のように用いて、それが原因・理由であることを表わす。ため。せえ。
※古文真宝彦龍抄(1490頃)「御なごり惜く思さう、泣を流す斗也。階下もをさないせいでも御入なし」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「気の所為(セヰ)か、粋を通して見て見ぬ風をしてゐるらしい」

そ‐い ‥ヰ【所為】

〘名〙 おこない。しわざ。また、ある事態の生じた原因。せい。しょい。
※日蓮遺文‐法門可披申様之事(1269)「禅宗天魔のそいなるべし」
※洒落本・素見数子(1802)二「きのふもかちぐりをおっことして、人のそいにしたじゃアねへか」

せ‐え【所為】

〘名〙 =せい(所為)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「あのまア、勘平御覧〈略〉あの大騒動にも間に合はず、是も色事の所為(セヱ)だ」

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デジタル大辞泉 「所為」の意味・読み・例文・類語

せ‐い〔‐ヰ〕【所為】

《「所為」の音「しょい」の音変化か》上の言葉を受け、それが原因・理由であることを表す。多く、よくない結果をもたらす場合にいう。「年の所為か疲れやすい」「人の所為にする」「雨続きの所為イネが育たない」「気の所為
[類語]原因もとたね起こりきっかけいん因由素因真因要因一因導因誘因理由事由じゆうわけ近因遠因起因する基づく発する根差す

しょ‐い〔‐ヰ〕【所為】

しわざ。振る舞い。
「自分の―に対しては…徳義上の責任を負うのが当然だとすれば」〈漱石それから
そうなった原因・理由。せい。
「暴政は必ずしも暴君暴吏の―のみに非ず」〈福沢学問のすゝめ
[類語]所業仕業

そ‐い〔‐ヰ〕【所為】

行い。しわざ。しょい。
「昨日もかちぐりをおっことして、人の―にしたぢゃあねえか」〈洒・素見数子〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「所為」の読み・字形・画数・意味

【所為】しよい(ゐ)

行為。所行。〔易、辞伝上〕子曰く、變を知るは、其れの爲すを知るか。

字通「所」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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