普及版 字通 「所(漢字)」の読み・字形・画数・意味
所
常用漢字 8画
(旧字)
8画
[字訓] ところ
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
(戸)+斤(きん)。〔説文〕十四上に「木を伐る聲なり」とし、〔詩、小雅、伐木〕「木を伐ることたり」の句を引くが、今本は「許許」に作る。擬声語の他に、本義のあるべき字である。金文の〔叔夷(しゆくいはく)〕に「(くわくくわく)たる(湯(とう)、殷の祖王)、嚴としてに在り」「桓武なる靈のに共(供)する(あ)り」のように用い、とは聖所・霊をいう。は神位を蔵する所の戸、その前に呪鎮として斧鉞の類をおく。その神戸を啓(ひら)くを、その神意を拝するを(肇)といい、金文にはに作る。はと字の立意同じ。のち御所・御座所のようにいい、また一般住居の意とするが、本来は聖所をいう字である。處(処)が虎皮をる神霊の代位者が居るところであるのと同じ。所を関係代名詞や受身に用いるのは後起の用義法で、音の仮借によるものである。
[訓義]
1. ところ、聖なるところ、聖所、所。
2. 場所、地位、境位、状況。
3. 処と通じ、おる。
4. 許と通じ、ばかり、ほど。
5. 関係代名詞、ところの。
6. 虚詞として、もし、べし、らる、せらる。
7. 所所は、木を伐る音。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 トコロ・オク・セラル・ミモト・ミチ・タリ/無 セムスベナシ/以・由 ユヱ 〔字鏡集〕 オク・トコロ・バカリ・マク・セラル・ミモト・ホ・タリ
[声系]
〔説文〕二下に声として(そ)を収め、「齒、酢に傷むなり」とあり、楚(そ)声によむという。にその音があるのであろう。
[語系]
shia、處thjiaは声近く、聖所に居ることを處という。の原義はあるいは土thaと近く、その地主神は(社)zjya、その舎屋を設けて祭る所がという関係であろう。
[熟語]
所以▶・所為▶・所謂▶・所縁▶・所荷▶・所懐▶・所学▶・所轄▶・所感▶・所管▶・所歓▶・所願▶・所期▶・所帰▶・所行▶・所業▶・所欽▶・所見▶・所顕▶・所怙▶・所後▶・所向▶・所好▶・所作▶・所在▶・所思▶・所子▶・所司▶・所自▶・所持▶・所従▶・所所▶・所親▶・所生▶・所説▶・所▶・所属▶・所存▶・所知▶・所長▶・所天▶・所得▶・所念▶・所犯▶・所部▶・所聞▶・所望▶・所有▶・所由▶・所与▶・所用▶・所領▶
[下接語]
一所・営所・遠所・王所・嘉所・箇所・会所・開所・各所・関所・旧所・急所・居所・近所・軍所・欠所・御所・公所・郊所・高所・坐所・斎所・在所・死所・次所・地所・住所・出所・寝所・随所・他所・多所・短所・長所・屯所・内所・難所・寧所・年所・配所・便所・墓所・名所・役所・要所・楽所・里所
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報