戸波郷(読み)へわごう

日本歴史地名大系 「戸波郷」の解説

戸波郷
へわごう

戸波川(波介川上流部の異称)流域を占める中世以来の郷。足摺の金剛福あしずりのこんごうふく(現土佐清水市)領で、文和三年(一三五四)五月三日付の名主供僧百姓等連署状(金剛福寺文書)に「戸波郷」とみえ、郷内の積善しやくぜん寺・善福ぜんぷく寺など八寺のほか、名主・百姓四〇人の名を記す。これらの有力名主層は政治・軍事に参画するほどの力を持ち、康永元年(一三四二)九月二六日付の佐伯国貞軍忠状(蠧簡集拾遺)によると、北朝方の武将佐伯氏の本拠である津野つの新庄岡本おかもと(現須崎市)が、南朝方の越知氏・佐河氏・度賀野氏らと、それに加勢した「戸波名主庄官」によって急襲されている。戦国時代には一条氏方の福井玄蕃や一条氏家臣永尾(長尾)因幡守が戸波城に居城して一帯を支配、一条氏の番城としたが、長宗我部元親の甥吉良親実に攻略されて以後、元親の従弟右兵衛尉親武の拠るところとなった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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