戸〆(読み)とじめ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戸〆」の意味・わかりやすい解説

戸〆
とじめ

江戸時代庶人に科せられた刑罰一つ。『公事方御定書』には,「釘を打って門戸を閉ざす」とある。ただし,在方にあっては,これを科しても,家がまばらで目立たず,恥辱にもならないというので,元文5 (1740) 年これに代えて (しかり) や過料を適用すべき旨定められ,御定書もこれを踏襲している。

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世界大百科事典(旧版)内の戸〆の言及

【過料】より

…幕府刑法においては,1718年(享保3)以降体系化が進み,過料(3貫文または5貫文),重き過料(10貫文),身上(しんしよう)に応じ過料(財産にしたがって納付額が定められる),小間(こま)に応じ過料(家並みに課し,間口に応じて割り付ける),村高に応じ過料(村に対し,石高に応じて課する)などに整理された。いずれも庶民に対する刑罰として,賭博罪,隠売女(かくしばいじよ)をはじめ各種の犯罪に広く適用され,また過料のうえ戸〆(とじめ)など二重しおきとされることも多い。3日間の納期限を過ぎると手鎖(てじよう)で代えられ,逆に手鎖刑も過料で代替しえた。…

【刑罰】より

…これらより軽い刑には種々あるが,手鎖(てじよう),過料,急度叱(きつとしかり),がよく用いられた。それ以外にも家内に謹慎させる戸〆(とじめ),非人の身分に編入する非人手下(ひにんてか),女性に対する剃髪(ていはつ),女性に対する労役刑である(やつこ)刑,〈新吉原町へ取らせ遣わす〉という隠売女(かくしばいじよ)を吉原に下付して奴女郎にする刑等があった。(2)は入墨刑,(たたき)刑によって構成されている。…

【閉門】より

…江戸幕府法では武士と僧に科せられる刑で,屋敷の門を閉じ,昼夜とも当人および内外の者の出入りを禁じ,ただ病気のときには夜中に医師を招き,また出火,類焼にあたっては消防,避難することは許されていた。自由刑と名誉刑との性質をもつ刑罰で,これより軽いものとして〈塞(ひつそく)〉〈遠慮〉〈戸〆(とじめ)〉〈押込(おしこめ)〉があった。前2者は武士と僧に科するもの。…

※「戸〆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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