精選版 日本国語大辞典 「戦略物資」の意味・読み・例文・類語
せんりゃく‐ぶっし【戦略物資】
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一国の安全保障上または戦争遂行上不可欠で,その帰趨を左右するほど重要な影響を及ぼす物資,資源をいう。それぞれの国によって事情は異なるが,そのような物資の確保が何らかの理由により量的・質的・時間的に不確実であるため,あらかじめその確保について特別な措置を必要とするものに限定して戦略物資と呼ぶのが通常である。一般に,食糧,石油,ウランや鉄をはじめとする鉱物などは,現代の戦略物資の中でもとくに重視されるものである。アメリカは1979年以降,チタン,ニッケル等の希少金属資源を含む93種類の鉱物資源を戦略物資と指定して備蓄している。日本のような少資源国にあっては,ほとんどの物資についてその自給率が低いので,安全保障を全うするためには多くの戦略物資を平時から備蓄しておくことが必要とされる。
執筆者:栂 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
戦争遂行に必要な重要物資をいう。国によって重要度は異なるが、一般に石油、食糧、希少金属などがあげられている。兵器や工作機械、電子機器などを含むこともある。戦略物資の供給いかんによって、戦争の遂行、国防経済の維持が左右されることになる。このため、これらの物資を確保しようとして、国内資源の開発、輸入の確保、備蓄、代替資源の研究に力が注がれる一方、敵性国家に対する輸出制限なども行われている。最近とくに重視されているのは希少金属(レアメタル)である。クロム、マンガン、チタンは航空機、ミサイルの合金原料となり、コバルトはジェットエンジンの製造に欠かせない。アメリカもこれらの多くを海外に依存しており、戦略金属と称して備蓄に努めている。航空、宇宙、原子力、電子など先端技術産業にとって必要不可欠な希少金属資源は、もっとも重要な戦略物資なのである。
[藤井治夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…こうした風潮に従い,軍としてもなるべく(1)の方式によって軍需品を取得するように配慮するのが能率的といえる。 さらに広義には,これら軍需品の生産に必要な原料,資源までも軍需品の中に数える場合(戦略物資)や,また逆に食糧,燃料,被服,日用品に限定して需品と呼ぶ場合(陸上自衛隊用語)などがある。【栂 博】。…
※「戦略物資」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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