成上(読み)なりあがる

精選版 日本国語大辞典 「成上」の意味・読み・例文・類語

なり‐あが・る【成上】

〘自ラ五(四)〙
① 順を追って昇進する。位階が次第に昇る。出世する。
落窪(10C後)二「中納言は、かく少将なりあがり給ふにつけても〈略〉いみじくねたがれども、かひ有るべくもあらず」
② 低い地位、賤しい身分から身をおこして出世する。貧乏人が急に金持になる。立身する。
史記抄(1477)一五「奴僕から、いかうなりあかりたぞ」
③ できあがる。成就する。
※虎寛本狂言成上り(室町末‐近世初)「渋柿が熟しに成上ると申て御ざる」

なり‐あがり【成上】

[1] 低い地位や身分から、立身出世すること。また、その人。
※玉塵抄(1563)五一「虵のなりあがりは龍なり」
日葡辞書(1603‐04)「アノ ヒトワ nariagaride(ナリアガリデ) ゴザル」
[2] 狂言。各流。主人鞍馬清水とも)を訪れた太郎冠者は、眠っている間に都の詐欺師に主人の太刀青竹に代えられ、主人に太刀が青竹に成り上がったと言い訳する。主人はそれを盗人のしわざと知り、詐欺師がもどってくるのを待ちぶせてつかまえるが、太郎冠者の失敗で逃がしてしまう。「狂言記(続)」では「成上り者」。

なし‐あ・ぐ【成上】

〘他ガ下二〙
官位などを引き上げる。なりあがらせる。昇進させる。なしいず。
源氏(1001‐14頃)東屋上達部には、われしあれば、今日明日といふばかりになしあげてん」
② しあげる。なしとげる。成就させる。

なり‐のぼ・る【成上】

〘自ラ四〙 高い地位にあがる。なりあがる。
※源氏(1001‐14頃)帚木直人の、上達部などまで、なりのぼりたる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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