(読み)カ(英語表記)gē

デジタル大辞泉 「戈」の意味・読み・例文・類語

か【戈】[漢字項目]

[音]カ(クヮ)(呉)(漢) [訓]ほこ
横に撃って敵を引っかける武器。ほこ。「銅戈
武器。戦争。「干戈兵戈
[名のり]かた・とも・もち
難読戈壁ゴビ

か〔クワ〕【×戈】

古代中国で使われた武器。ほこ。

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改訂新版 世界大百科事典 「戈」の意味・わかりやすい解説

戈 (か)

中国の殷・周時代から前漢時代にかけて,もっともよく使用された中国独特の武器で,(げき)とあわせて句兵こうへい)と総称される。長い柄の先端に,柄と直角短剣状のものをとりつけたもので,敵の首や頭にうちこんで,手前に引き倒したり,斬りつけたりするものである。やや湾曲した両刃の短剣の部分を援(えん),その下についた長くのびた部分を胡(こ)といい,内と呼ばれる部分を柄に通して戈を安定させる。柄は古名で柲(ひつ)といわれ,木や竹を合わせたものがある。柄の下端石突(いしづき)(鐓(とん)または鐏(そん))をつける。戈の柄への着装には銎式という柄をつきさす方法もあるが,多くは柄に枘穴(ほぞあな)をつくり,そこに内を通し,胡と内にある孔(穿)に紐を通してしばりつける。戈は殷代中期からはじまるが,はじめは全般に細長く,援の上下の刃は対称形に近く,パレットナイフに近い形を示すが,次第に援が湾曲し,胡の部分が大きくなる。前漢時代中期になると鉄製武器の普及により,姿をかえていく。戈には実用のものだけでなく,墓に埋葬するための明器のもの,援の部分を玉でつくった儀仗用のもの,内に華麗な装飾をつけるもの,銘文の刻まれたものなどがある。長江揚子江)中・下流域の春秋戦国時代の戈には,普通の戈と,内を切りとった戈とを1本の柄につけた儀仗用のものがみられる。また戈は中国だけでなく,南はインドシナ半島,北は中国東北部から朝鮮半島,日本にも伝わり,それぞれ地方で独自の形式をもつ戈をつくっている。
銅戈
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百科事典マイペディア 「戈」の意味・わかりやすい解説

戈【か】

中国の青銅製武器の一種。援(やや湾曲した両刃の短剣の部分)に対して柄が直角につき,中国,上代の戦車を主とした戦いには重要な武器であった。殷(いん)代の戈は刃の幅が広く短い。西周,春秋,戦国と次第に刃が細く長くなり,刃の下縁が柄に沿ってのびる。また戦国になると矛(ぼう)のついた戟(げき)が出現した。→(ほこ)
→関連項目青銅器

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戈」の意味・わかりやすい解説



ge

中国古代における代表的兵器の一種。青銅製。殷代から戦国時代にかけて盛行。援,内,胡の3部分から成る鳶口式の兵器。先端のとがった援に対して直角方向に柄が内の部分で緊縛される。内には1孔があって柄を目釘で留める。胡は初期にはなく,時代とともに援の基部下端が長く発達して胡の部分ができた。胡には柄を縛るための小孔があけられている。朝鮮や日本には,中国のそれと若干形を異にしたものが存する。日本では,舶載の狭鋒銅戈が,九州から近畿地方まで分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【青銅器】より

…とくに注目すべきものとして,のちに鍔としての役目をもつ突起を基部につくり出したものがある。
[その他の青銅器]
 そのほかに,利器として短刀,庖丁(ほうちよう),戈(か)などがある。短刀は大西洋沿岸の地方には少なく,フランス中央部やスイス,ドイツ南部に多い。…

【武器】より

…ここまでくれば,武器というより,兵器と呼ぶにふさわしい。【渡辺 昌美】
【中国】

[戈,戟,矛など]
 古代中国で青銅製の武器として主流を占めたのは戈(か)と戟(げき)であった。は先端が三つに分かれており,一つが木製の柄に固定する部分で,あとの二つが鋭利になっていた。…

※「戈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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