憂愁夫人(読み)ユウシュウフジン(英語表記)Frau Sorge

デジタル大辞泉 「憂愁夫人」の意味・読み・例文・類語

ゆうしゅうふじん〔イウシウフジン〕【憂愁夫人】

原題、〈ドイツFrau Sorgeズーダーマンの処女小説。自身故郷でもある東プロイセン農村舞台に、没落地主の子である青年パウル軌跡を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「憂愁夫人」の意味・わかりやすい解説

憂愁夫人
ゆうしゅうふじん
Frau Sorge

ドイツの作家ズーダーマンの長編小説。1887年刊。故郷の風土と素朴な人々の生活を自然主義的手法で描き、作者自身の青春への思いと耐乏生活を反映した自伝的教養小説。「憂愁夫人」とは伝説上の女性で、その姿を見た者には不運が付きまとうという。主人公パウルは子供のころ、母よりこの話を聞かされ、その姿を見る。やがて破産した家を捨て二人の兄が都会に出たあと、一家の中心としてさまざまな逆境のなかで自分の青春も恋も犠牲にして働く。家の買主に恨みを抱く父が放火しようとするのを阻止するため、やむなく自分の家に放火し、その罪のため弁解することなく刑に服したパウルは、最後に「憂愁夫人」の呪(のろ)いを解いて恋人と結ばれる。

谷口 泰]

『池谷信三郎訳『憂愁夫人』(角川文庫)』

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