ドイツの作家ズーダーマンの長編小説。1887年刊。故郷の風土と素朴な人々の生活を自然主義的手法で描き、作者自身の青春への思いと耐乏生活を反映した自伝的教養小説。「憂愁夫人」とは伝説上の女性で、その姿を見た者には不運が付きまとうという。主人公パウルは子供のころ、母よりこの話を聞かされ、その姿を見る。やがて破産した家を捨て二人の兄が都会に出たあと、一家の中心としてさまざまな逆境のなかで自分の青春も恋も犠牲にして働く。家の買主に恨みを抱く父が放火しようとするのを阻止するため、やむなく自分の家に放火し、その罪のため弁解することなく刑に服したパウルは、最後に「憂愁夫人」の呪(のろ)いを解いて恋人と結ばれる。
[谷口 泰]
『池谷信三郎訳『憂愁夫人』(角川文庫)』
《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...
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