愛染(読み)あいぜん

精選版 日本国語大辞典 「愛染」の意味・読み・例文・類語

あい‐ぜん【愛染】

〘名〙
今昔(1120頃か)二「国の五百の群賊の中に一人有て、此の波羅門(ばらもん)の妻(め)美麗なるを見て愛染の心を(おこ)して、蜜に招取て終(つひ)に其の本意を遂(とげ)つ」 〔大智度論‐一〕
御湯殿上日記‐文明一八年(1486)六月一日「御まほりのあいせんいつものことく御くやうあり」
増鏡(1368‐76頃)一二「さまざまの御修法、五壇、薬師、あいぜん、いろいろの秘法ども」
※劇場新話(1804‐09頃)上「くまどりの大概、〈略〉一愛染」

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デジタル大辞泉 「愛染」の意味・読み・例文・類語

あい‐ぜん【愛染】

仏語
愛に執着すること。愛着あいじゃく
故郷肉親に対する断ち難き―は」〈嘉村業苦
愛染法」の略。
愛染明王」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の愛染の言及

【愛】より

…前者を,〈慈〉と訳すこともある。 梵巴〈ラーガrāga〉:〈愛・愛染・貪愛〉。〈心が真赤に染まるような,激しい性愛〉のことで,仏教はその規制を説いたが,後代のタントラ的密教においては,〈男女交合〉を〈涅槃(ねはん)〉〈仏道成就〉とさえみなすようになった。…

※「愛染」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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