惣八(読み)ソウハチ

デジタル大辞泉 「惣八」の意味・読み・例文・類語

そうはち【惣八/宗八】

狂言還俗げんぞくした惣八という料理人と、もと料理人のにわか坊主とが、互い前身を知って仕事を取り替えているところへ、主人が戻ってきてあわてる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「惣八」の意味・わかりやすい解説

惣八
そうはち

狂言の曲名雑狂言和泉(いずみ)流は「宗八」と書く。出家と料理人を抱えようという高札を見て、漢字もろくに読めない元料理人の出家と、精進料理がすこしできるだけの元出家の料理人の惣八(シテ)が応募し、まんまと雇われる。主人はさっそく出家に読経を、料理人に魚を調理するように命じて出て行く。与えられた仕事がまったくできず途方に暮れている2人が、相手の仕事が自分のもっとも得意なことだと知り、互いの仕事を取り替えて教え合う。戻ってきた主人は、料理人がお経を読み、出家が魚を料理しているのを見て驚き、怒って追い込む。出家の還俗(げんぞく)や料理人の調理術など、中世の風俗を生き生きと伝える作品。とくに、小道具の鯛(たい)と鯉(こい)(和泉流は鮒(ふな))を巧みに使った調理風景が楽しい。

[油谷光雄]

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