情況証拠(読み)じょうきょうしょうこ(英語表記)circumstantial evidence

改訂新版 世界大百科事典 「情況証拠」の意味・わかりやすい解説

情況証拠 (じょうきょうしょうこ)
circumstantial evidence

要証事実存否間接的に証明する証拠。例えば,殺人罪立証について,被告人に被害者を殺害する動機があったとの事実,被告人が事件後逃亡したとの事実などがこれにあたる。このように,情況証拠は,要証事実を立証する証拠としての性質を持っているとともに,それ自体が証拠による証明の対象となる事実でもある。そこで,これを間接事実ともいう。間接事実を立証するための証拠を間接証拠というが,情況証拠が間接証拠の意味で用いられることもある。情況証拠については,要証事実との関連性relevancyが問題とされることが多い。情況証拠は,要証事実の存在時期に対する時間的前後により,予見的証拠,同時的証拠,回顧的証拠に,また,要証事実を推認させる直接性の程度により,近接的証拠,遠隔的証拠に,それぞれ分類することができるが,情況証拠による事実認定においては,論理法則および経験則に反することなく,できるだけ近接的情況証拠を多面的に収集・検討する必要がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「情況証拠」の意味・わかりやすい解説

情況証拠
じょうきょうしょうこ

刑事訴訟では犯罪事実の存在を間接に証明する証拠のうち供述証拠でないものをいい、民事訴訟では間接に主要事実の証明に役だつ証拠をいう。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「情況証拠」の意味・わかりやすい解説

情況証拠
じょうきょうしょうこ

間接証拠」のページをご覧ください。

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