悪食(読み)あくじき

精選版 日本国語大辞典 「悪食」の意味・読み・例文・類語

あく‐じき【悪食】

〘名〙
① 粗末な食物粗食。あくしょく。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵代議士「斯ういふ悪食(アクジキ)を貪って臭きを知らざる豚の寄合ぢゃから」 〔根本説一切有部毘奈耶‐二〇〕
② 普通の人がいやがって食用としない物を食べること。いかもの食い。転じて、普通の人がいやがってしないようなことをしたり、趣味とすること。
洒落本・新吾左出放題盲牛(1781)折助冷飯「命しらずの悪食(あくシキ)者と」 〔大孔雀呪王経‐上〕
仏門で、特に禁じられた動物を食べること。

あく‐しょく【悪食】

〘名〙 =あくじき(悪食)①②⇔美食
※文明本節用集(室町中)「悪食 アクショク」
※論語‐里仁「士志於道、而恥悪衣悪食者、未与議也」

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デジタル大辞泉 「悪食」の意味・読み・例文・類語

あく‐じき【悪食】

[名](スル)
普通には食べない物を食べること。いかものぐい。あくしょく。
粗末な物を食べること。
仏教で、禁じられている獣肉を食べること。
[類語]いかもの食いげてもの食い

あく‐しょく【悪食】

あくじき(悪食)」に同じ。〈日葡

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改訂新版 世界大百科事典 「悪食」の意味・わかりやすい解説

悪食 (あくじき)

一般には食用としないものを食べること。〈いかもの食い〉ともいう。食物領域は民族によって異なり,同一民族の中にも地域差の見られることが多く,悪食という概念は限定された社会での通念に過ぎず,厳密には成立しえないものと思われる。ヘビカエルの食用は世界的には広く分布しているが,日本人の多くが悪食として嫌悪するようなものである。つまり,悪食といわれるものは民族的,風土的な通念をはみ出した食事に対して与えられた呼称で,古来さまざまな〈珍怪之食〉が伝えられてきた中国の場合なども,強精長寿を求める人びとの願望に発したものが多い。なお,精神肉体変調・異常によって異物を食する場合があるが,これは異味症異食症などと呼び,いわゆる悪食とは区別される。
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普及版 字通 「悪食」の読み・字形・画数・意味

【悪食】あくしよく

粗食。

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