性霊集(読み)しょうりょうしゅう

精選版 日本国語大辞典 「性霊集」の意味・読み・例文・類語

しょうりょうしゅう シャウリャウシフ【性霊集】

平安前期の漢詩文集。一〇巻。真済(しんぜい)承和二年(八三五)頃に編集空海の詩賦・碑銘・表啓願文などを集成したもの。後に巻八・九・一〇が散逸したが、済暹(さいせん)が承暦三年(一〇七九)に逸文を「続性霊集補闕鈔」として編んだものをもって補い、一〇巻に復した。遍照発揮(へんじょうほっき)性霊集。せいれいしゅう。

せいれいしゅう ‥シフ【性霊集】

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デジタル大辞泉 「性霊集」の意味・読み・例文・類語

しょうりょうしゅう〔シヤウリヤウシフ〕【性霊集】

平安初期の漢詩文集。10巻。空海の詩・碑文・願文などを弟子真済しんぜいが集成。承和2年(835)ごろ成立。のちに末尾3巻が散逸したが、承暦3年(1079)済暹さいせんが逸文を集めて「続性霊集補闕鈔」として補集。遍照発揮性霊集。せいれいしゅう。

せいれいしゅう〔セイレイシフ〕【性霊集】

しょうりょうしゅう(性霊集)

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改訂新版 世界大百科事典 「性霊集」の意味・わかりやすい解説

性霊集 (しょうりょうしゅう)

〈せいれいしゅう〉ともいい,詳しくは《遍照発揮(へんじようほつき)/(へんじようはつき)性霊集》という。空海(弘法大師)の詩文などを集めて10巻としたもの。編者は空海の弟子真済(しんぜい)で,のち8,9,10の3巻が散逸したため,1079年(承暦3)に済暹(さいせん)が補い,《続性霊集補闕鈔》3巻を編集して巻数を旧に復した。時代的には804年(延暦23)から834年(承和1)まで31年間の空海の文集約111首を収めている。内容的には詩賦類,碑銘類,詩文類,表啓,書啓,噠嚫・願文類,願文・噠嚫・表白類,奏・啓白文類,序・詩・讃などに分類される。平安時代初期の代表的な個人の詩文集として著名であるとともに,当時の政治,思想文学宗教,とくに日本密教思想や信仰を知るうえで最も貴重な資料といえる。ただし,後補の8,9,10の3巻のうちには空海の作でないものも混入している。同様のものに《高野雑筆集》上下2巻があり,併読する必要がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「性霊集」の意味・わかりやすい解説

性霊集
しょうりょうしゅう

平安初期の漢詩文集。正しくは『遍照発揮(へんじょうほっき)性霊集』。10巻。空海作。弟子の真済(しんぜい)が編纂(へんさん)したもので、当初10巻であったが、巻8以下の3巻が散逸し、1079年(承暦3)に済暹(さいせん)が逸文を拾集して『続(ぞく)性霊集補闕鈔(ほけつしょう)』3巻を編み、ふたたび10巻に編纂した。空海の作品として確実なもの108編。詩、碑文、願文、表白などに分類されているが、その華麗豊贍(かれいほうせん)な詩文に作者の卓抜した才能がうかがえる。後世僧侶(そうりょ)たちが詩文の手本にしたが、また当時の漢詩文を知るうえで貴重な資料である。

[大曽根章介]

『渡辺照宏・宮坂宥勝校注『日本古典文学大系71 三教指帰・性霊集』(1965・岩波書店)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「性霊集」の解説

性霊集
しょうりょうしゅう

空海の漢詩文集。10巻。弟子の真済(しんぜい)編。正式には「遍照発揮性霊集(へんじょうほっきせいれいしゅう)」といい,「遍照」は空海の灌頂(かんじょう)号の略称。空海の存命中の827~835年(天長4~承和2)の間に成立。早くから巻8・9・10が散逸したため,済暹(さいせん)が1079年(承暦3)に逸文を収集して「続遍照発揮性霊集補闕鈔」3巻を編み,もとの巻数としたが,そのなかには空海の作でないものも混在する。詩・碑文・上表・啓・書簡・願文などの作品が収録され,綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)創設にあたり起草した「綜芸種智院式并序」も本書に収める。醍醐寺本・高野山大学本・尊経閣文庫本など多くの古写本がある。「日本古典文学大系」所収。

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百科事典マイペディア 「性霊集」の意味・わかりやすい解説

性霊集【しょうりょうしゅう】

空海の漢詩文集。〈せいれいしゅう〉とも。《遍照発揮(へんじょうほっき)性霊集》の略称。弟子の真済(しんぜい)の編。もと全10巻あったが,終わりの3巻が散逸したために,1079年に弟子の済暹(さいせん)が遺稿を集めて《続性霊集補闕鈔》3巻を補い,再び10巻に復した。詩賦類・碑銘類・表啓類・願文類などに分類してあり,後世の僧は文章を作る際の手本とした。消息往来を集めた《高野雑筆集》全2巻とともに,当時の宗教,文学,政治などを知る好資料。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「性霊集」の意味・わかりやすい解説

性霊集
しょうりょうしゅう

空海がおりに触れて作った詩文を,弟子の真済 (800~860) が 10巻に編集したもの。正しくは,『遍照発揮性霊集』といい,空海の生涯を研究する場合に重要な資料である。 10巻のうち8,9,10巻が失われたので,仁和寺の済暹が空海の遺文をさらに3巻に蒐集して残存の7巻の末尾に付したものが残っている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「性霊集」の解説

性霊集
しょうりょうしゅう

平安初期,空海の詩文集
正しくは『遍照発揮性霊集』という。835年ころ成立。10巻。空海の弟子真済の編。空海の詩賦・上表・碑銘・書簡などからなる。

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