家庭医学館 「急性小児片まひ」の解説
きゅうせいしょうにへんまひ【急性小児片まひ Acute Infantile Hemiplegia】
急な発熱とともに意識障害におちいり、からだの片側にけいれん(半身けいれん)がおこります。このけいれんは、いったんおこると長時間続く(けいれん重積)ことが多いものです。
けいれんがやっと止まっても、意識障害が数日続き、その後にからだの片側にまひ(片(へん)まひ)が残ります。
後に知的障害やてんかんがおこる頻度が高くなっています。ふつう、3歳以下の子どもにおこります。
脳の血管障害、髄膜炎(ずいまくえん)などいろいろなことが原因になりますが、原因がわからないケースもあります。
[検査と診断]
熱性けいれん、てんかん、髄膜炎、急性脳症、脳血管障害などの多くの病気との鑑別が必要です。そのため、入院し、血液、髄液(ずいえき)、脳波、CT、MRIなどの詳しい検査をする必要があります。
CTなどの画像診断では、最初大脳半球(だいのうはんきゅう)の片側(けいれんをおこした反対側)に浮腫(ふしゅ)(むくみ)がみられ、やがて萎縮(いしゅく)(縮む)していくようすが観察されます。
脳波検査では、波形に左右差がみられ、やがて、てんかん性の異常波が出てくることがあります。
[治療]
急性期(病気のおこり始め)には、けいれんを止めて、脳を保護する治療(抗けいれん薬や脳浮腫をとる薬の使用、酸素吸入)を行ないます。症状が落ちついたら、後遺症に対する治療を行ないます。
まひには機能訓練、てんかんには抗けいれん薬の使用を行ないます。知的障害がみられる場合は、教育上の配慮が必要になります。
障害が高度の場合は、専門の訓練施設へ通院することもあります。