思春期にみられる歯肉炎(読み)ししゅんきにみられるしにくえん(英語表記)Puberty gingivitis

六訂版 家庭医学大全科 「思春期にみられる歯肉炎」の解説

思春期にみられる歯肉炎
ししゅんきにみられるしにくえん
Puberty gingivitis
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 思春期(11~14歳ころ)になると歯肉の炎症が悪化し、歯肉はより赤くなり、ぶよぶよし、出血しやすくなることがあります。とくにこの傾向は、女子に多くみられます。

 女子の場合、思春期になると血流中に女性ホルモンのうちエストロゲン(卵胞ホルモン)の一種であるエストラジオールプロゲステロン(黄体ホルモン)などが増え、歯と歯肉の間にある(みぞ)歯肉溝(しにくこう))から出る滲出液(しんしゅつえき)中にもこれらの女性ホルモンがみられるようになります。ここにすんでいる歯周病細菌のうち、プレボテラインターメディア、プレボテラ・ニグレセンスなどが性ホルモンを栄養源として発育し、これらの細菌が増えることで炎症が悪化するのです。

 思春期のすべての子どもたちの歯肉に炎症が起こるわけではありません。思春期になる前から歯肉炎があった子どもたちの歯肉炎が悪化します。

 歯肉に炎症がなければ、思春期になっても歯肉は健康状態を維持することができるので、心配はいりません。思春期が過ぎれば炎症はある程度軽減しますが、完全に治ることはありません。

治療の方法

 治療原則は、プラークコントロール基盤とした早期発見、早期治療です。学校歯科医やかかりつけ歯科医のもとで、早めに適正な口腔清掃指導や生活習慣を改善するための指導を受けたり、歯石がある場合は取ってもらいましょう。

 定期口腔検査が必要なことはいうまでもありません。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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