デジタル大辞泉
「思わく」の意味・読み・例文・類語
おもわ‐く〔おもは‐〕【思わく/思惑】
《が原義。「惑」は当て字》
1 あらかじめ考えていた事柄。考え。意図。また、見込み。「なにか―がありそうだ」「―が外れる」
2 自分のしたことに対する他人の反応、評価。評判。「世間の―が気になる」
3 相場の変動を予想すること。また、その予想によって売買すること。
4 人に思いをかけること。恋心。
「何の―がありて、美形の女の方より、指爪を放しやるべし」〈浮・禁短気・二〉
5 思いをかけた人。恋人。情人。
「この―の心算用をすまさせいでは」〈浮・禁短気・一〉
《動詞「おもう」のク語法》
1 思うこと。
「あしひきの山は百重に隠せども君を―止む時もなし」〈万・三一八九〉
2 (副詞的に用いて)思うことには。思うには。
「里見れど里も見かねて怪しみとそこに―」〈万・一七四〇〉
[類語]意図・積もり・心組み・心積もり・考え
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おもわ‐く おもは‥【思く・思惑ワク】
[1] (動詞「おもう(思)」のク語法)
① (名詞的に用いて) 思うこと。
※
万葉(8C後)一二・三一八九「あしひきの山は百重に隠すとも妹は忘れじ直
(ただ)に会ふまでに 一に云、隠せども君を思苦
(おもはク)止む時もなし」
② (副詞的に用いて) 思うことには。
※万葉(8C後)九・一七四〇「そこに念久(おもはク) 家ゆ出でて 三歳(みとせ)の間に 垣も無く 家うせめやと」
[2] 〘名〙 (
思惑) ((一)から転じたもの。「惑」は当て字)
① 心の中で考えている事柄。思うところ。
(イ) (━する) こうだ、こうしようなどと考えている点。また、そう考えること。意図。
※狭衣物語(1069‐77頃か)四「打たれじと用意したるゐずまひ・をもはくどもも、おのおのをかしう見るを」
※
洒落本・蕩子筌枉解(1770)絶句「この
女郎の一客をおもわくはめて身うけさせ」
(ロ) こうなるだろうという予想。見込み。また、こうだろうという
推測。
※浮世草子・
本朝二十不孝(1686)二「外よりの思はくには、五万両も
有べきやうに見ゆべし」
(ハ) ある人に対して、他の人が持っている考えや感じ。評判。気うけ。
※
日葡辞書(1603‐04)「ヒトノ vomouacuga
(ヲモワクガ) ハヅカシイ」
② ある人を恋い慕うこと。思いをかけること。
※
評判記・役者評判蚰蜒(1674)序「今村のむらなきかいなにおもわくなんどをほり付」
※仮名草子・都風俗鑑(1681)一「物ずきにまかせて以為(オモハク)をこしらへ」
④ (①(ロ) の意味から) 特に、相場の変動を予想すること。また、その予想によって売買すること。
※中外商業新報‐明治三七年(1904)一月一日「地場と称する商館番頭仲買の思惑百九十八番の鞘取売等にて、喰合は益々増加し」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報