念仏寺(読み)ねんぶつじ

精選版 日本国語大辞典 「念仏寺」の意味・読み・例文・類語

ねんぶつ‐じ【念仏寺】

[1] 〘名〙 念仏宗の寺。
浮世草子本朝二十不孝(1686)四「半道斗野末なる念仏寺(ネンブツジ)の門前に行て、辻堂のうちに万之助を捨置立帰れば」
[2] 京都市右京区嵯峨鳥居本化野(あだしの)町にある浄土宗の寺。山号は華西山。空海開創の五智山如来寺を法然が中興し、現寺号に改めたと伝える。八月二四日の地蔵盆千灯供養は有名。化野の念仏寺。

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デジタル大辞泉 「念仏寺」の意味・読み・例文・類語

ねんぶつ‐じ【念仏寺】

京都市右京区にある浄土宗の寺。山号は華西山。空海開創の五智山如来寺を法然が中興し、現寺号に改めたと伝える。8月24日地蔵盆の千灯供養は有名。化野あだしのの念仏寺。

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日本歴史地名大系 「念仏寺」の解説

念仏寺
ねんぶつじ

[現在地名]上野市寺町

てら町の東側、南部に位置し、光明山と号し、浄土宗、本尊阿弥陀如来。「伊水温故」によれば、もと大和筒井つつい(現奈良県大和郡山市)にあったが、筒井定次の伊賀移封に伴い当地に移ったと伝え、このゆえに俗称大和寺と称したという。「伊州ニテノ開基ハ慶長ノ初、関東ノ僧対蓮社純誉ヲ第一祖トス」とするが、定次の愛犬が切捨てられ、死体が当寺門前に捨てられていたため、無実の罪で寺は破却、住僧は上野町の西はずれの清水しようずに一庵を結んでいた。

念仏寺
ねんぶつじ

[現在地名]五條市大津町

大津おおつ集落の西にある単立寺院。本尊阿弥陀如来。明応五年(一四九六)正月一一日の坂合部郷定書(古沢氏所蔵文書)に「念仏寺引接院」がみえ、引接いんじよう院は塔頭で、吉野川に架かる阪合部さかいべ橋近くにあったといわれる。永正一四年(一五一七)一二月の念仏寺領算用状(表野家文書)によると、大津村・表野ひようの村・西手にしで村・黒駒くろま村などに寺領二三石余があった。

念仏寺
ねんぶつじ

[現在地名]天理市中山

大和稚宮おおやまとわかみや神社北方に所在。大塚山宝性ほうしよう院と号し、浄土宗。本尊阿弥陀如来。中山なかやま(現廃寺)の一坊で真言宗であったと伝える。明応七年(一四九八)の地震で炎上、のち天文一九年(一五五〇)十市とおち城主十市遠忠が再興したが、宝永六年(一七〇九)に焼失、同年沢公が再建したという。

念仏寺
ねんぶつじ

[現在地名]八幡市八幡旦所

旦所たんしよ西部にある。天照山と号し、浄土宗、本尊阿弥陀如来。「男山考古録」に「旧は観音堂と号して空也上人暫く当寺に住居す、此上人八幡宮を信仰す、神告を蒙りし事、「縁事抄」に見ゆ、本尊観音、同上人自作云々、古より両度焼す云々、今当寺浄土宗三十六ケ寺組内也、本尊阿弥陀如来は高橋町大同寺に在しを移せる由寺記にみえたり、中古開山念誉、応永二年正月廿五日寂」とみえる。

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改訂新版 世界大百科事典 「念仏寺」の意味・わかりやすい解説

念仏寺 (ねんぶつじ)

京都市右京区嵯峨にある浄土宗の寺。華西山東漸院と号し,〈化野念仏寺(あだしのねんぶつでら)〉の名で有名。弘法大師の創建,のち法然がここで念仏をひろめ,いまの寺名に改めたという。寺の付近は晩秋初冬のころ奥嵯峨の風情が満喫できる。寺のある化野は鳥辺野,蓮台野とともに,平安京の葬送地で,当寺は葬送や死者の追善供養の寺として,その歴史をたどってきた。近代になって,陰徳を積むことを宗旨とする福田海(ふくでんかい)の人々を中心に,里人らが付近から無縁の石塔を集めた。いま寺域内にある8000余の石塔がこれで,毎年8月の地蔵盆には各石塔の前に灯明をともす千灯供養が行われ,京の夏の終りをいろどる行事となって,参詣者が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「念仏寺」の意味・わかりやすい解説

念仏寺
ねんぶつじ

京都市右京区嵯峨鳥居本化野(さがとりいもとあだしの)町にある浄土宗の寺。華西山東漸院(かさいざんとうぜんいん)と号し、化野の念仏寺という。本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)。空海の開創で、五智山如来寺(ごちさんにょらいじ)といった。のち法然上人(ほうねんしょうにん)(源空)により中興された。法然が延暦(えんりゃく)寺の弾圧から逃れ愛宕(あたご)山の月輪(がつりん)寺に籠(こも)ったころ、当地に念仏の道場を開き、ここに多くの念仏衆が集まったので念仏寺と改められた。当地は昔、あだし野とよばれ、洛山(らくざん)の蓮台野(れんだいの)とともに墓地であり、『徒然草(つれづれぐさ)』にもみられる。本尊の阿弥陀如来像は湛慶(たんけい)作。角倉素庵(すみのくらそあん)の墓がある。8月24日の地蔵盆には千灯供養が行われ、多くの人が参詣(さんけい)する。

[清水 乞]

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