応力集中(読み)おうりょくしゅうちゅう(英語表記)stress concentration

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「応力集中」の意味・わかりやすい解説

応力集中
おうりょくしゅうちゅう
stress concentration

機械や構造物を構成する板や棒材そのほかに,穴や切り欠き,異物などがあって,断面形状が急変するところに他よりも局所的に高い応力が生じる現象をいう。局所的に生じる最高の応力と対象とする断面の平均応力(公称応力ともいう)との比を応力集中係数(または形状係数)と呼ぶ。この値は一般に破壊とは直結しないが,大きければ危険を伴うので,小さく抑える必要がある。有限要素法に代表される弾性解析か,光弾性法などの応力測定法により求められる。応力集中係数には次の性質がある。(1) 形状および荷重形式が与えられれば弾性係数によらず一定値となる。(2) 同一の形状に対して,引っ張り,曲げ剪断(→ずれ),ねじりの順に値が小さくなる。(3) 二次元問題では,境界条件が変位で指定される場合を除いてポアソン比の影響を受けない。(4) 三次元問題では,ポアソン比の影響を受けるがその影響は小さい。

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百科事典マイペディア 「応力集中」の意味・わかりやすい解説

応力集中【おうりょくしゅうちゅう】

弾性体に外力が作用するとき,その物質に鋭い切込みや断面の急激な変化があったりすると,切込みの先端や変異部に非常に大きい応力を生じ,永久変形やひび割れを起こしやすい。この応力の集中現象をいう。

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世界大百科事典(旧版)内の応力集中の言及

【応力】より

…応力分布は物体の形や外力の性質により変わり,鋭い溝などのように形が急変する部分を切欠きというが,ここには周囲より大きい応力が発生する。これを応力集中といい,構造の破壊の主要な原因となる。 実用の固体材料では外力が作用しなくても応力が発生していることがある。…

※「応力集中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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