応・答(読み)いらう

精選版 日本国語大辞典 「応・答」の意味・読み・例文・類語

いら・う いらふ【応・答】

〘自ハ下二〙 相手の問いかけに対してことばを返す。返事をする。
※竹取(9C末‐10C初)「翁いらふるやう『なし給ひそ〈略〉』といふ」
源氏(1001‐14頃)空蝉「わづらはしくて、まろぞといらふ」
[語誌](1)類義語「こたふ」が、上代から用いられているのに対し、「いらふ」は、中古から例が見られるようになった。返事をする意の「こたふ」が単純素朴な返事であるのに対し、「いらふ」は自ら才覚で適宜判断しながら返事をする場合に多く用いられ、「こたふ」より自由なニュアンスがあったという。しかし、和歌ではもっぱら「こたふ」が用いられ、「いらふ」は用いられない。
(2)中古後期以降、散文では「こたふ」が勢力を回復し、「いらふ」よりも優勢となる。

いらえ いらへ【応・答】

〘名〙 (動詞「いらう(応)」の連用形名詞化) こたえ。返答
伊勢物語(10C前)六二「いとはづかしと思ひていらへもせでゐたるを」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「よろづの事を泣く泣く契りのたまはすれど御いらへも聞え給はず」

いら・ゆ【応・答】

〘自ヤ下二〙 (ハ行下二段動詞「いらう(ふ)」から転じて、室町時代頃から用いられたもの。多くの場合、終止形は「いらゆる」) =いらう(応)〔運歩色葉(1548)〕
※虎明本狂言・今参(室町末‐近世初)「とう事もいらゆる事も」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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