志都歌(読み)しつうた

精選版 日本国語大辞典 「志都歌」の意味・読み・例文・類語

しつ‐うた【志都歌】

〘名〙 上代歌曲の名。下(した)つ歌の意で、全体調子を下げて歌う歌の意か。
古事記(712)下「此の天皇と大后の歌ひたまひし六歌は志都歌(シツうた)の歌返しなり」
[補注]「しづうた」と訓んで、静かに歌う歌、全体にゆったりと歌う歌、「賤歌」で庶民風に歌う歌、「倭文歌」で機織(はたおり)の歌などとする説もある。

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デジタル大辞泉 「志都歌」の意味・読み・例文・類語

しつ‐うた【志都歌】

上代歌謡の一。調子を下げてうたう歌。一説に、静かな歌、庶民的な歌の意とも。
「歌ひたまひし六歌は―の歌ひ返しなり」〈・下〉

しず‐うた〔しづ‐〕【志都歌】

しつうた

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の志都歌の言及

【歌謡】より

…〈神語(かむがたり)〉〈思国歌(くにしのびうた)〉〈酒楽(さかぐら)の歌〉等の名称は,国見(くにみ),饗宴といった歌唱の機会をあらわし,〈久米歌(くめうた)〉〈天語歌(あまがたりうた)〉等は,そうした際の一定の歌唱者集団の名にもとづく。さらに〈志都(しづ)(静)歌〉〈志良宜(しらげ)(尻上げ)歌〉〈宮人振(みやびとぶり)〉等,曲調による名もみえている。これらのことからとくに記紀の歌謡が宮廷歌謡に定式化され,楽曲として整えられつつあったさまがうかがえる。…

※「志都歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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