心火(読み)しんか

精選版 日本国語大辞典 「心火」の意味・読み・例文・類語

しん‐か ‥クヮ【心火】

〘名〙
① 燃え上がる火のように激しい心の動き。怒り、憎しみ嫉妬などの感情の激しいさまを火にたとえていう語。
今昔(1120頃か)一一「彼の神は雷神として嗔の心火を出せる也」 〔白居易‐感春詩〕
② 墓や幽霊などのまわりに飛びかうといわれる不気味な火。また、死者の魂がさまようといわれる怪しい火。陰火(いんか)。鬼火。狐火。
歌舞伎・女人結縁灌頂(1707)二「葛(くず)の葉が心火(シンクヮ)岩二郎を連れ来る」
③ 歌舞伎で、ひとだまを表わすために燃やす火。古くは棒の先につけた布に焼酎を含ませて燃やしたが、現在では豆電球を使う。陰火。焼酎火(しょうちゅうび)
※歌舞伎・彩入御伽草(1808)皿屋敷の場「この時、薄ドロドロになり、井の内にて心火(シンクヮ)燃える」

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デジタル大辞泉 「心火」の意味・読み・例文・類語

しん‐か〔‐クワ〕【心火】

火のように激しく燃え立つ、怒り・恨み・嫉妬しっとなどの感情。「心火を燃やす」
墓や幽霊などのまわりを飛びかうといわれる火。陰火。
歌舞伎で、2を表すために燃やす火。

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普及版 字通 「心火」の読み・字形・画数・意味

【心火】しんか(くわ)

はげしい感情の動き。唐・白居易〔春に感ず〕詩 憂喜皆心火 榮枯は是れ眼塵 除くに一杯の酒に非ずんば 何物に身に關せん

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