(読み)ちょうする

精選版 日本国語大辞典 「徴」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐・する【徴】

〘他サ変〙 ちょう・す 〘他サ変〙
① 召す。呼び出す。招く。
※正法眼蔵(1231‐53)心不可得「また玄沙、三蔵を徴していはく」
② 証明する。証拠とする。また、ある物事に証拠や根拠を求める。照らし合わす。
経国集(827)序「論古未今」
※筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉三「我国に貧民多き事より之を救済するの法を歴史に徴して論説し」
③ とりたてる。徴収する。
類聚国史‐八三・免租税・弘仁二年(811)一一月庚子「宜今年田租悉免勿一レ徴」
岡本手帳(1906)〈国木田独歩〉「十銭の見物料を徴して」
④ もとめる。望む。要求する。請求する。
都会憂鬱(1923)〈佐藤春夫〉「素直に彼の意見を徴してゐるやうにも看做(みな)されたし」

ちょう【徴】

〘名〙
① 人を召し出すこと。呼び出し。まねき。
国史略(1826)五「及是役、長重応徴発」
② 物を取りあげること。供出させること。とりたて。
令義解(718)公式「右凡是追徴科造。〈謂。追者。追喚也。徴者。徴納也〉」
③ 物事のおこる前ぶれ。きざし。また、証拠。しるし。
古事談(1212‐15頃)二「依之在国之間更無其徴
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八「頭寒足熱延命息災の徴と傷寒論にも出て居る通り」 〔春秋左伝‐昭公一七年〕

ち【徴】

〘名〙 中国および日本音楽音階一つ。五音(宮・商・角・徴・羽)の一つ。主音の宮に次いで中心となる音。宮より完全五度上方に当たる。
※古今著聞集(1254)六「管絃のおこり、そのつたはれる事ひさし。〈略〉宮・商・角・徴・羽の五音あり」 〔史記‐楽書〕

ちょう‐・す【徴】

〘他サ変〙 ⇒ちょうする(徴)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「徴」の意味・読み・例文・類語

ちょう【徴】[漢字項目]

常用漢字] [音]チョウ(呉)(漢) チ(呉)(漢) [訓]めす しるし
〈チョウ〉
召し出す。「徴兵徴募徴用
取り立てる。「徴収徴税徴発課徴追徴
隠された意味の現れたもの。しるし。きざし。「徴候徴証徴表象徴瑞徴ずいちょう性徴特徴明徴
〈チ〉中国・日本音楽の五声の一。「変徴
[名のり]あき・あきら・きよし・なり・みる・よし

しるし【徴/験】

《「」と同語源》
(徴)何事かの起こる前触れ。きざし。前兆。「異変の起こる―」
(験)
㋐神仏の現す霊験。御利益ごりやく。「祈念の―が現れる」
㋑効果。ききめ。効能。「養生の―が見えてきた」
[類語]き目効果成果こう実効効験効能効力効用甲斐かい霊験作用

ちょう【徴】

物事の起こる前ぶれ。きざし。前兆。徴候。「衰微の
人を召し出すこと。召し。「に応じる」
金品を取り立てること。供出させること。「を課す」
[類語]効果しるし効験霊験

ち【徴】

中国・日本音楽の階名の一。五声の第4音。きゅうに次いで重要な音。

ち【徴】[漢字項目]

ちょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【五音】より

…五声ともいう。1オクターブの中に設定される五つの音階音,すなわち宮(きゆう),商,角,徴(ち),羽(う)をいう。元来は中国から伝えられた用語が,日本化したもので,5音音階の第1音を調に関係なくつねに宮とし,上に向かって順に商,角……とする。…

【五声】より

…中国音階の基調をなし,日本,朝鮮にも入った。宮・商・角・徴(ち)・羽の5音からなり,徴と宮の半音下の変徴・変宮を加えたものを七声という。 五声は中国では周末から前漢にかけて,その算法を記した《管子》《呂氏春秋》《淮南子(えなんじ)》などがある。…

※「徴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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