復興庁(読み)フッコウチョウ

デジタル大辞泉 「復興庁」の意味・読み・例文・類語

ふっこう‐ちょう〔フクコウチヤウ〕【復興庁】

東日本大震災からの復興事業を迅速に実施するため、内閣に設置された行政組織。平成24年(2012)発足。国の復興施策の企画・調整・実施、被災した地方公共団体への窓口・支援等の事務を一元的に担い、施策の司令塔としての役割を果たす。内閣総理大臣を長とし、復興大臣は内閣総理大臣を助け、事務を統括する。重要政策会議として復興推進会議有識者会議として復興推進委員会が置かれる。本庁は東京都港区赤坂。地方機関として盛岡仙台福島の各市に復興局、岩手宮古市釜石市宮城気仙沼市石巻市、福島県南相馬市いわき市支所、青森県八戸市・茨城県水戸市に事務所がある。
[補説]発足時は令和3年(2021)3月31日までという設置期限が設けられていたが、引き続き被災地支援に取り組む必要があるとして、令和13年(2031)同日に延長された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「復興庁」の意味・わかりやすい解説

復興庁
ふっこうちょう

福島第一原子力発電所事故を含む東日本大震災からの復興政策をつかさどる国の機関。首相直属(内閣に設置)の行政機関であり、復興事業にめどをつけるまでの時限機関である。2011年(平成23)6月に成立した東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)に設置の基本方針が盛り込まれ、同年12月に成立した復興庁設置法(平成23年法律第125号)で目的や所掌事務、組織などが規定された。東日本大震災復興基本法に基づいて設置されていた政府の復興対策本部の行政事務拡充・増強する形で、2012年2月に発足した。復興庁の長である内閣総理大臣のもと、一人の復興大臣と複数の副大臣を置く。

 復興庁は中央省庁の政策を企画・調整し、国の一元的な窓口として津波・大震災被災地の復興と原子力被災地域の中長期的対応にあたる。復興債や日本郵政株の売却益財源とし、一般会計から切り離した特別会計で復興関連予算を一括要求・管理し、復旧・復興、原発事故対策、移住定住、風評被害対策に取り組む。優遇税制や規制緩和で産業振興を促す復興特別区域を認定するほか、インフラ復旧の財源である復興交付金の配分などを担う。東京に本庁を置くが、被災地の要望を迅速に吸い上げるため、被災三県(岩手、宮城、福島)に復興局を設ける。庁内には「復興推進会議」を設け復興のための施策を推進し、関係機関の調整を図る。また、有識者や被災自治体の首長らを委員とする「復興推進委員会」で復興の推進状況を監視・評価する。復興庁の設置期限は当初、震災から10年後(2020年度末)までとしてきたが、福島第一原発事故への対応が長期化しており、復興庁設置法改正(2020年)により期限を10年延長し、2030年度末までとした。復興債の発行期間や日本郵政株の売却期限も5年間延ばしたが、復興交付金は2020年度末で廃止する。

[矢野 武 2020年11月13日]

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知恵蔵 「復興庁」の解説

復興庁

2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地の復興に向けて、複数省庁にまたがる課題を調整し、復興政策を一元的に統括する目的で新設が予定されている行政機関。1923年の関東大震災の復興計画を立案した「帝都復興院」を参考に構想されたという。政府は、復興庁について、同年5月13日に国会提出した「東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(復興基本法案)」で、法施行から1年以内をめどに必要な立法措置を講じると付則に明記した。
東日本大震災では、巨大地震と津波により東北地方の太平洋沿岸部が壊滅的な被害を受けたのを中心に、広範囲にわたって被害が発生。さらに、被災した福島第一原子力発電所の事故で放射性物質が放出され、周辺住民が地域外への避難を余儀なくされるなどの影響も出ている。このため、被災地の復興は、防災対策やまちづくりを再検討しながら、道路や港湾などのインフラ復旧整備、学校や公民館などの復旧工事、住宅や仕事を失った被災者への支援、医療・福祉や社会経済活動の再生などを具体的に進めていくことになる。国と各地方自治体、各部門間が連携して事業を進めることが必要になり、垂直・水平的な調整が求められる。復興庁は、こうした被災地の復興に関する基本計画を策定し、政策の統一を図るための調整を担当する。

(原田英美  ライター / 2011年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「復興庁」の意味・わかりやすい解説

復興庁
ふっこうちょう
Reconstruction Agency

東北地方太平洋沖地震からの復興に関する施策を司る国の行政機関。2011年6月に施行された東日本大震災復興基本法に基本方針が規定され,2012年2月に新設された。復興に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行をはかり,内閣官房とともに内閣を補助することを任務とする。復興に関する基本的な方針などについて企画,立案,調整をするとともに,関係地方公共団体への一元的な窓口となり支援を行なう。内閣総理大臣を長に,復興事業を統括する復興大臣を置く。またさまざまな要望に 1ヵ所で対応するワンストップ・センターの役割を担う地方機関として岩手県,宮城県,福島県の被災 3県に復興局を,3県の沿岸部計 6ヵ所に支所を,青森県,茨城県に事務所をそれぞれ設置した。震災から 10年目となる 2020年度までの設置期限が設けられている。

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百科事典マイペディア 「復興庁」の意味・わかりやすい解説

復興庁【ふっこうちょう】

日本の行政機関。東日本大震災復興基本法で規定され,2011年12月に成立した復興庁設置法に基づき内閣の下に設置され,復興大臣が置かれた。東日本大震災(福島第一原発事故も含む)からの復興に関する行政事務の円滑かつ迅速な進行をはかることを目的としている。震災発生から10年後の2021年3月までに廃止される。

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