御末(読み)オスエ

デジタル大辞泉 「御末」の意味・読み・例文・類語

お‐すえ〔‐すゑ〕【御末】

内裏、または室町時代将軍家で、諸臣との応対に用いられた奥向き一室。また、そこに詰めた者。
江戸時代、将軍家または大名家で、水仕みずし雑役などに従事した下級侍女。また、その詰め所はしため。おはした。

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精選版 日本国語大辞典 「御末」の意味・読み・例文・類語

お‐すえ ‥すゑ【御末】

〘名〙
① 内裏や室町将軍家の部屋の名称。諸家諸臣等の対面などに用いられた。また、そこに仕える身分の低い侍女。
※海人藻芥(1420)「内裏に御すえといふ所あり。常の人の所ならば、中居などの辺なり」
② 江戸時代、幕府、大名の奥女中のうち、水仕(みずし)、雑役に従事する下級の女中のいる部屋。また、その女中。おはした。はしため。
※仮名草子・都風俗鑑(1681)二「広々たる台所、おすゑのはしをはたらき、或はとも、つかひにまかりたるてい
蔭凉軒日録‐寛正四年(1463)一〇月九日「御末小林訴訟之云々」
扇子をいう女房詞。〔公家言葉集存(1944)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「御末」の意味・わかりやすい解説

御末 (おすえ)

室町時代から江戸時代にかけて,下級の身分で内裏,将軍家の雑役を務めた男女の称。内裏,室町将軍家では諸家,諸臣らの対面にあてられた室を御末間(おすえのま)といい,そこには御末と呼ばれる身分の低い侍女が奉仕した。江戸時代には,将軍家,諸大名に仕える奥女中のなかで水仕(みずし),雑役を務めた下級の者を御末といい,彼女らがたむろする室も同様に称した。また,室町時代には,将軍家の食事を調えたり,宿直をしたりする雑役を務めた下級武家を御末衆(おすえのしゆ),御末男衆,御末男などと称し,略して御末とも呼んでいた。1603-04年(慶長8-9)刊の《日葡辞書》には〈Vosuye.ヲスエ(御末)〉の項をかかげて〈女が食事を調える所。また,時には,その台所に勤める女のことを言う〉と解説している。なお,鹿児島県内では炊事用の別棟をオスエ(またはナカエ)という事例があり,宮城県仙台地方でも別棟の台所をオスエと称する。ついでながら女房ことば(女官用語)で御末というのがあり,扇子,すなわち末広の略という。
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