御召(読み)おめし

精選版 日本国語大辞典 「御召」の意味・読み・例文・類語

お‐めし【御召】

〘名〙 (「お」は接頭語)
① 呼び寄せること、乗ること、着ることなどをいう尊敬語
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第三九「箔千まい月はもとより影さして おめしの舟のの海つら」
② 他人を敬って、その着物をいう語。お召しもの。
浄瑠璃信州川中島合戦(1721)三「此(この)小袖は、将軍義輝公の御召(おめし)
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「ちょっと出るにもお召(メシ)のはんてん織物やはかたのおびを締(しめ)
羽二重(はぶたえ)をいう江戸の語。
洒落本・仕懸文庫(1791)二「革(かは)じゃアごぜへせん。おめしサ〈かはとはかわはをり、おめしとは羽二重といふこと也〉」

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デジタル大辞泉 「御召」の意味・読み・例文・類語

お‐めし【御召(し)】

呼び寄せること、乗ること、着ることなどの意の尊敬語。「お召しにあずかる」「上着お召しですか」
お召し物。
「早く―をお脱ぎ遊ばしませ」〈木下尚江良人の自白
御召縮緬ちりめん」の略。
アクセント1はオメシ23はオシ。

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改訂新版 世界大百科事典 「御召」の意味・わかりやすい解説

御召 (おめし)

御召ちりめんの略称。絹織物の一種で,着尺,羽尺,コート地などの和装に用いる。徳川11代将軍家斉が,従来高貴の人々が着用した縞ちりめんを改良し,粋な創作柄を作らせ,御止縞(おとめじま)として他人の使用を禁じてつねに着用したことから,御召の名があるといわれる。ふつうのちりめんは経緯糸ともに生糸強撚糸(きようねんし)を使い,織り上げた後に精練して生糸のもつ膠(にかわ)質のセリシンを落とし,〈シボ〉と呼ぶ縮みじわを表面にあらわしたいわゆる練絹の白生地であるのに対し,御召は糸精練の先練,先染した絹糸を用い御召緯(よこ)と称する糊入れの強撚糸の右撚(みぎより),左撚を交互に織り込み温湯に浸し,シボ取り湯のし整理によって仕上げる。平織の無地,縞,絣が多く紋,風通(ふうつう),羽二重などの御召もある。近時は自然の味を好み紬御召も作られ,また,化合繊素材の御召地も和,洋服地向けに生産される。肌ざわりがよく着やすいため,矢絣の御召など一般に好まれたが,需要は1937-38年以前の隆盛時に比し僅少である。いずれも京都,十日町,米沢,桐生などで生産される。
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百科事典マイペディア 「御召」の意味・わかりやすい解説

御召【おめし】

御召縮緬(ちりめん)の略。御召料の意で,西陣で作られた縞縮緬を徳川11代将軍家斉が召したことから名づけられた。絹のほか毛,化繊,合繊もある。あらかじめ精練染色した糸で織るが,緯(よこ)糸に御召緯と称する糊(のり)をつけた強撚(きょうねん)糸を用い,表面にしぼを出す。平織が多く紋御召,縫取御召,上代御召,風通御召などの種類がある。地質は張りがあり堅めで,着物,羽織,帯等にする。産地は西陣,桐生,十日町,塩沢など。
→関連項目絹織物ちりめん(縮緬)

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日本文化いろは事典 「御召」の解説

御召

[女性用] 御召は御召縮緬〔おめしちりめん〕という生地で仕立てられた着物の総称で、全体に波をうったような細かい皺(シボ)があることが特徴です。織りの着物の中では最も高級な、正絹(シルク)の着物です。

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