御倉・御蔵（読み）みくら

精選版 日本国語大辞典

み‐くら【御倉・御蔵】

[1] 〘名〙 (「み」は接頭語)

① 広く、官司・寺社や貴族の邸宅などの倉。特に、神宝など貴重なものを納める倉庫。

※源氏（1001‐14頃）梅枝「二条院のみくらあけさせ給ひて、唐の物どもとりわたさせ給ひて」

② 内蔵寮(くらりょう)の倉。また、そこに置かれた官人。天皇の御物を納めた内蔵寮内の倉と、米穀などを納めた宮城外の御倉町の倉とがあった。

※弁内侍（1278頃）建長二年一二月一六日「みくらや使ひなどが、雪はかきたれ降るに、あらしをしのぎて、使ひ使ひいそがしもよほすけしき」

③ 蔵人所の収蔵庫。歴代の書物が保管されている校書殿(きょうしょでん)の母屋（文殿）のこと。蔵人所は校書殿の西廂に置かれていた。

※侍中群要（1071か）五「往_二反御倉前_一之人、必下_レ裾」

④ 「みくら（御倉）の小舎人(こどねり)」の略。

※今昔（1120頃か）三一「蔵人所の泉・滝口・出納・御蔵女官・主殿司下部共に至まで」

⑤ ⇒おくら（御倉・御蔵）

[2] 「みくらじま（御蔵島）」の略。

※読本・椿説弓張月（1807‐11）前「さる程に為朝は、三宅、新嶋、神津、利嶋、御蔵(ミクラ)すべて五の嶋をも打従へ」

お‐くら【御倉・御蔵】

〘名〙 (「お」は接頭語)

① ＝おくらぶぎょう（御蔵奉行）①

※斎藤基恒日記‐嘉吉二年（1442）二月「洛中洛外酒屋、〈略〉役之銭到来之時、加_二下書於送状_一、納_二御倉 籾井備後入道許_一 則御倉請取持来候時、合点了」

② 徳川幕府が直轄地から収納する米や買上米などを保管する米蔵。金銀を納めた御金蔵に対していう。浅草御蔵、大坂御蔵、二条御蔵の三御蔵が特に有名。

※財政経済史料‐四・官制・勘定所職制・勘定所分課・安永三年（1774）正月「浅草御蔵一体取締りも宜相成候由に付」

③ ＝おかねぐら（御金蔵）

④ 商家などの倉庫。

⑤ 質屋をいう。〔尖端語百科辞典（1931）〕

⑥ 興行を中止すること。また、使わないでしまうこと。→御倉にする。〔新時代用語辞典（1930）〕

⑦ 興行の打ち上げ。また、物事の終わり。

⑧ ⇒みくら（御倉）

出典　精選版 日本国語大辞典