得業(読み)とくごう

精選版 日本国語大辞典 「得業」の意味・読み・例文・類語

とく‐ごう ‥ゴフ【得業】

〘名〙 (「ごう」は「業」の呉音) 仏語。
① きめられた仏道修行をおさめ終えること。また、その人。
※霊異記(810‐824)下「老僧観規は、〈略〉自性天年、雕巧を宗とす。有智の得業にして、並びに衆才を統べたり」
② 僧の学問上の階級の一つ。奈良三会(興福寺の維摩会・法華会、薬師寺の最勝会)に参列して論場で探題の出した問題について理論を述べて答えることをなし遂げた者の称号比叡山では横川の四季講と定心房の三講聴衆をつとめた者。
※三代実録‐貞観四年(862)八月一五日「詔令本元興寺法華供得業僧。預維摩会竪義
浄土宗浄土真宗で、学階の一つ。

とく‐ぎょう ‥ゲフ【得業】

〘名〙
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「玄顕こそまゐりて候へ。得業(トクゲウ)こそまゐりて候へ」
一定課程を学び終えること。

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デジタル大辞泉 「得業」の意味・読み・例文・類語

とく‐ぎょう〔‐ゲフ〕【得業】

学問や技芸などで、定められた課程を修了すること。
[類語]卒業修業修了巣立ち卒園終える

とく‐ごう〔‐ゴフ〕【得業】

僧の学階の称。奈良では、三会さんえ立義りゅうぎを勤め終えた僧の称号。比叡山では、横川よかわの四季講、定心房の三講の聴衆を勤めた僧の称号。
浄土宗・真宗の僧の学階で最下級の称。

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普及版 字通 「得業」の読み・字形・画数・意味

【得業】とくぎよう

終業

字通「得」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の得業の言及

【最勝会】より

…その後慧達,平超,常全などにより興隆整備され,《延喜式》主税式によると,供料は大和,近江国よりそれぞれ黒米60石をつき,その年の正月中に寺家に送られたという。維摩会,御斎会,最勝会の竪義(りゆうぎ)を終えた僧は得業(とくごう)といわれ,またこの三会の講師を果たした僧は律師に補任された。1445年(文安2)6月の薬師寺諸堂の大風による倒壊で,以後中絶するにいたった。…

【竪義】より

…中世以降はまったく形式化し,問いも答えも固定化して抑揚をつけて読みあげる節も定まった。竪義は学僧への初段階の試験であり,三会の竪義を遂行した僧は得業と称せられるなど,已講(いこう)への階梯として重視された。【堀池 春峰】。…

※「得業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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