精選版 日本国語大辞典 「得手」の意味・読み・例文・類語
え‐て【得手】
〘名〙
① 技芸などで、体得したわざ。「えてに入る(=得意のわざとなる)」
※風姿花伝(1400‐02頃)七「えての能をして、精励を出せば」
③ 物事を自分の都合のよい方にばかり捉えること。得手勝手。
※浄瑠璃・傾城酒呑童子(1718)三「左様の時に、得手(エテ)のお方が、今宵一夜はおれが物、一寸傍(そば)を放さぬと、堅くろしいお方がござります」
④ 例のこと、例のもの、例の所など聞き手にそれと通じると思われる物事や人をさしていう。主としてあからさまにいうのをはばかる物事や場合にいう。得手吉。得手物。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「例所(エテ)へ行(いっ)て、ももんぢいで四文(しもん)二合半(こなから)ときめべい」
⑥ 戸のさるかぎ。戸の栓(せん)。
※雑俳・紀玉川(1819‐25)「得手差て言ふ気女房のはらげ髪」
⑦ 月経をいう。月経のことを猿猴坊ということから転じたものか。
※洒落本・南極駅路雀(1789)「それにあのお子は積気(しゃくき)だの、えてになるといつでもあれよ」
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