後言(読み)こうげん

精選版 日本国語大辞典 「後言」の意味・読み・例文・類語

こう‐げん【後言】

〘名〙
物事が終わった後に、あれこれ言うこと。
平治(1220頃か)下「これは、何の後言を言はせ申し候ふぞ」
かげぐち。かげごと。
※垂加文集(1714‐24)三「士不面従退有後言」 〔書経‐益稷謨〕

しりゅう‐ごと しりう‥【後言】

〘名〙 当人のいないところで、その人のうわさをしたり悪口をいったりすること。かげぐち。しりごと。
※枕(10C終)二七八「まだおろしの御衣一つ賜はらず。なにか、しりうごとには聞えんなどのたまふがをかしければ」
十訓抄(1252)六「何曾が晉の政のおごれるを諫ずして、家にかへりてしりうごとしける」

うしろ‐ごと【後言】

〘名〙
過去の繰り言。愚痴
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「何と殿はうしろ事(ゴト)をばし給ふらむ」
② 陰で悪口をいうこと。また、その言葉陰口。しりうごと。〔文明本節用集(室町中)〕

のち‐ごと【後言】

〘名〙 死後のために言いのこすことば。ゆいごん。
書紀(720)天智三年一〇月(北野本訓)「児(こ)等に遺言(ノチコト)して曰はく」

しりゅう‐ご・つ しりう‥【後言】

〘自タ四〙 (「しりゅうごと(後言)」の動詞化) かげでそしる。かげ口をいう。
源氏(1001‐14頃)若菜上「おなじ筋にはおはすれど、いま一際は、心苦しくと、しりふごち聞え給ふにつけても」

しり‐ごと【後言】

※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)一二「しりごとうしろごとがきたないぞ」

しりう‐ご・つ【後言】

しりう‐ごと【後言】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「後言」の意味・読み・例文・類語

こう‐げん【後言】

当人のいないところで言う悪口。かげごと。かげぐち。「面従後言
物事が終わったあとで、異議不服などを言うこと。
「これは何の―を言はせ申し候ふぞ」〈古活字本平治・下〉

しりゅう‐ごと〔しりう‐〕【後言】

《「しりえ(後方)ごと」の音変化》その人のいない所でうわさをすること。陰口。しりうごと。
「折々聞こえさせ給ふなる御―をも、喜び聞こえ給ふめる」〈蜻蛉

のち‐ごと【後言】

死に際の言葉。この世に言いのこす言葉。遺言。
「余り強く投げられて、―もせず死ににけり」〈盛衰記・四二〉

しりう‐ごと【後言】

しりゅうごと

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普及版 字通 「後言」の読み・字形・画数・意味

【後言】こうげん

口。

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