彼誰時(読み)かわたれどき

精選版 日本国語大辞典 「彼誰時」の意味・読み・例文・類語

かわたれ‐どき かはたれ‥【彼誰時】

〘名〙 (「かわたれ」は「彼(か)は誰(たれ)」で、人の見分けがつきにくいの意) 夜明け、または夕暮れどきの薄暗い時分夕方を「たそがれどき」として、「かわたれどき」を特に、明け方にいうことが多い。かわたれ。かれわたれどき。かれわたそどき。かわかおうどき。
万葉(8C後)二〇・四三八四「あかときの加波多例等枳(カハタレドキ)に島蔭(かぎ)を漕ぎにし船のたづき知らずも」
読本椿説弓張月(1807‐11)前「この暁の誰彼時(カハタレトキ)に、森をはなるる鳥とともに、東をさして旅だちける」

かれわたそ‐どき かれはたそ‥【彼誰時】

〘名〙 (「かれわたそ」は、「彼(かれ)は誰(た)そ」の意) =かわたれどき(彼誰時)
今昔(1120頃か)二七「彼(かレ)は誰(た)そ時(どき)に成れば」

あれはたそ‐どき【彼誰時】

〘名〙 (「たそ」は、誰だとたずねる意) =あれはたれどき(彼誰時)
※今昔(1120頃か)二七「彼れは誰そ時に成れば、寝殿の前より赤き単衣(ひとへぎぬ)の飛て」

あれはたれ‐どき【彼誰時】

〘名〙 夕方などの、薄暗くて、あの人はだれと見定めかねる時。かはたれどき。たそがれどき。あれはたそどき。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)初音「おまへの梅やうやうひもときて、あれはたれどきなるに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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